『いちゃLove❤チェス漫才!!』とは、様々なチェスの対戦棋譜を自作チェスエンジン「Sayuri」と一緒に漫才形式で解説する記事です。
チェスエンジンを擬人化したキモい記事ですが、生温か〜い目でご覧ください。
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ゲーム
今回は「頑張ればコンピュータの最強レベルにも勝てる!!」ということで、『New ニンテンドー3DS』で『DSi Ware』の『at チェス チャレンジスピリッツ』というゲームをやります。
- ハード : New ニンテンドー3DS
- 対戦モード : シングルプレイ - フリープレイ
- 対戦相手 : 美夏 (Level 強)
- 手番 : 僕は白番
解説 & 漫才
僕
「近年のコンピュータは世界のトッププレイヤーをも負かしてしまう・・・。
この手のゲームが人間の足元にも及ばなかった時代が懐かしい・・・。
そんなあなたに!! 『at チェス チャレンジスピリッツ』!!
なんとコレ、頑張れば『コンピュータの最強レベルにも勝てる!!』という夢を叶えてくれるのだ!!」
Sayuri
「何気にうちらディスられたどすか?」
Stockfish先生
「まぁ、仕方あるまい。 MetalPhaeton は Fairy Max という 700行程度のソースコードのチェスエンジンにすらボロ負けしとるからのう。 『強いコンピュータ』というのがつまらなくなっておるのじゃろう。」
Sayuri
「うちに Lisp インタープリタを搭載したのもその辺りが理由らしいどすが・・・ただの逆恨みどすな。」
僕
「ただこのゲーム・・・ちょっと問題点があって、『ニンテンドー3DS』でやった場合と『New ニンテンドー3DS』でやった場合とで強さが格段に違ってしまうのだ・・・。
『ニンテンドー3DS』でやった時にわりと簡単に全クリできたチャレンジモードが『New ニンテンドー3DS』に引っ越しした途端にクリアできなくなってしまった。
最後の方にある Level 5 のミッション・・・僕の棋力では無理です・・・。」
Sayuri
「コンピュータチェスの宿命どすな。 CPU の違いでびっくりするくらい性能が変わってしまうどす。」
僕
「しかし!! フリープレイなら最強キャラだって僕の敵ではない!!」
Stockfish先生
「ほう、あんな情けない棋譜でよくそれだけ豪語できるもんじゃ。」
僕
「か、勝ったんだからいいじゃないか!」
Stockfish先生
「余裕をぶっこいて、チェックメイトの手順を何度も見逃して、お主は恥ずかしくないのか?」
僕
「は、恥ずかしいです・・・。 この棋譜、なかったことにしようかな・・・。」
Sayuri
「もうダメどす。 あんさんは今日、日本全国に大恥をかくどす。 決定どす。」
僕
「がーん!!」
Stockfish先生
「解説始めるのじゃ。
オープニングは Four Knights じゃな。」
僕
「オープニングブック付きのコンピュータとやるとたいてい Four Knights になる。
僕がいつも Three Knights をやるからだと思う。」
Stockfish先生
「オープニングブックにない局面になるまで定跡を指し続ける習性があるからじゃな。
Three Knights が来たら必ず Four Knights に派生してしまうのじゃ。」
Sayuri
「人間の場合は『対戦相手が誰なのか』『いままでやってきた定跡』『メタゲーム』『その日の気分』などから定跡を選択するどすが、うちらプログラムはそれらを知るアルゴリズムを搭載されていない限りそれらの概念を認知することすらできないどす。」
僕
「僕、Sayuri に『作り主を罵倒するアルゴリズム』を組んだ覚えはないんだけど・・・。」
Sayuri
「それは『作り主が罵倒するに値する人物』であることを Sayulisp で機械学習したからどす。」
僕
「Sayulisp にそんな機能が・・・って、なんでやねん!!」
Stockfish先生
「相手の指し手『Ply 10 : h5』じゃが、かなり高度なテクニックじゃな。
うまく hファイルを開いて h8 のルークでキャスリング後のお主のキングを叩き潰そうとする手じゃ。」
僕
「結果的にはそうなんだけど、たぶんこのソフトにはそこまで高度なことはできないと思う。
たぶん読みが浅すぎて他の指し手が見つからなかっただけなんだと思う。」
Stockfish先生
「『Ply 12 : a6』、この辺りからこのソフトの欠陥がぼちぼち出てくるのじゃ。」
僕
「まだ油断はできないけどね。」
Sayuri
「そのようどすな。 『Ply 18 : Bg4』は意外と恐ろしい手どす。
白は次に h3 とポーンを上げて牽制したどすが、その牽制に応えずピンを継続するという選択肢があるどす。
もし黒がピンを継続してきて白がビショップを取った時、黒はすかさず hポーンで取り返すどす。
この時 h8 のルークがアクティブになり、白のナイトはキックされ、黒のクイーンが白のキングの前に狙いを付け、状況次第では黒が白をチェックメイトするどす。」
僕
「うん・・・正直この時『負けるかも・・・』とか思ったりした。」
Stockfish先生
「まぁ、このソフトはそこまで考えておらんじゃろ。
『Ply 24 : Kd7』を見れば分かる。 キャスリングして守るべき c7 をキャスリングを放棄してキングで守っておる。
黒はセンターポーンがおらんのじゃ。 自殺行為に等しいのう。」
僕
「そうなんだけど、この後の手順を見ると分かるけど、意外とこのキングがしぶとくてビックリした。」
Stockfish先生
「そうじゃな。 この後評価値は MetalPhaeton がどんどんリードしていくことになるけど、ポーン以外の駒で駒得できておらん。
そういう意味ではこのソフトは初心者のトレーニングに非常に適したソフトかも知れんのう。
簡単に駒得できてしまうソフトは『何も考えなくても勝てる』ソフトじゃから練習には不向きじゃ。
じゃが、このソフトのように駒得だけはしっかりと守ろうとするソフトに勝つには『ポジショナルアドバンテージ』の考え方が必要じゃ。 つまりチェスの考え方を鍛えるのにうってつけということじゃ。」
僕
「さてと、今日の漫才はこの辺りでお終いかな?」
Sayuri
「そうは問屋が降ろさんどす。 あんさんが日本全国に大恥をかくのはこれからどす。」
僕
「ヤバい・・・ Sayuri の目がキラキラしてきた・・・。」
Stockfish先生
「では『Ply 79 : Qf4』の解説でもするかのう。」
僕
「ええっ!! いきなり!?!?」
Sayuri
「先ずは簡単な『2手メイト逃し』どすな。」
Stockfish先生
「結論から言うと、ここは Qf4 ではなく f8=N+ じゃな。
もし相手が Bxf8 なら Qd8# 、相手が Kd6 なら Qe5# でチェックメイトじゃ。」
僕
「うっ・・・(恥)」
Sayuri
「まだ続くどす。」
Stockfish先生
「『Ply 83 : hxg5』じゃが、ここは Rd8+ Kxd8 f8=Q+ Kd7 Q4f7# じゃ。」
Sayuri
「『3手メイト逃し』、中級者を名乗るなら気付いて当然の手順どす。」
僕
「や・・・やめてくれ・・・やめて下さい・・・(プルプル)」
Sayuri
「まだ続くどす。」
Stockfish先生
「『Ply 87 : Qf6』じゃが、ここは Qxc4# で終わっておったな。」
Sayuri
「チェスで最も恥ずかしい、『1手メイト逃し』どす。
付け加えると、この恥晒しは Qf6 がメイトだと思い込んでいたどす。 黒のキングが d6 に逃げられることに気付いていなかったどす。」
僕
「いやぁああああ!! 殺してくれぇええええ!! 恥ずかしぃいいいい!!」
Sayuri
「よし! 壊れたどす!」
Stockfish先生
「中級者が精神崩壊を起こしてしまうようじゃが、この『at チェス チャレンジスピリッツ』は初心者のトレーニングにはぴったりじゃ。
『ポジショナルプレイ』というチェスの戦い方をすれば勝てるから初心者がセンスを磨くのに最適のソフトじゃな。」
僕
「ひぃいいいい!! うぎゃぁああああ!! ちゅどーーーん!!」
Stockfish先生
「昔は Windows に『Chess Titans』という名作があった。 それは徹底的に防御に徹したプレイスタイルで、攻撃は「駒得」と「チェックメイト」しかしてこなかった。
だからこそ初心者が『勝つためのチェスの戦い方』を身につけるのに最適じゃった。
でも今はそれがない。 PC の世界は『強いチェスエンジン』ばかりになってしまい、最適な学習用スパーリングパートナーがなくなってしまったのじゃ。」
Sayuri
「うちは Sayulisp があるからウェイトを自由に変更してプレイングスタイルをカスタマイズできるどす。
学習用スパーリングパートナーに調整することも可能どす。
あんさん! 壊れてないでそういうスクリプトを組むどす!」
僕
「壊したのは Sayuri だろ・・・。 まぁ、気が向いたら作ってみるよ・・・。」
Stockfish先生
「もう『強いエンジン』にはこりごりじゃ。
コンピュータ世界一の座を三つ巴で争ったり、アメリカのチャンピオンをボコボコにしたり・・・全く何が楽しいんだか・・・。」
僕
「全部あんたのことだろ!! (ビシッ!!)」
一堂
「ははははは!」
ナレーション
オチを思いつくのに 2時間費やしてしまったのはともかく、今日も和やかに人工知能達の一日が暮れるのであった・・・次回、好ご期待!!