科学技術が発達して、人間は少しの時間働けば済むようになる。あるいは、少数の人間が働けば済むようになる。そのような社会が、目の前に来ています。
 
ところが、ここに大問題が潜んでいます。
「働かなくても済むようになった人間は、どうやって食っていくのですか?」
という問題です。
働かなくて済むようになった人の収入はどうするのでしょうか。科学の発達は失業を生み出すだけではありませんか?
 
マクロ経済から見て、働く人が少なくなることは、全体としての賃金が減ることです。購買力が減ってしまいます。そうしますと、せっかくの科学技術で生産したものも、買ってくれる人がいないのです。
 
科学技術が発達したら、直接に生産に参加しない人たちの収入を確保するようにしないと、経済的に大不況になります。生活費を得る手段が賃金しかないこと自体を考え直す必要があります。
 
だからね、ベーシック・インカム。
ベーシック・インカムは、単に社会保障の問題ではありません。科学技術が発達した社会で人間がいかに暮らすかと、深く関係しているのです。
 
「働かざる者食うべからず」、この倫理を金科玉条にしてしまうと、これからの社会にとっては、ヤバいところがあるんです。
 

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