混沌としていて、人の心はもちろんのこと、
自分の本心さえも見えにくい現代社会。
自分自身との「対話」を重視したユングの心理学は、
現代を生きる私たちに何らかのヒントを与えてくれるハズです。
①古代ギリシャの神に由来する概念
ユングが提唱した理論、
「元型(アーキタイプ)」の一つに、
「永遠の少年」という表象(イメージ)があります。
これは、簡単に言うと、
すでに成人して“いい年”になっているにも関わらず
心理状態が思春期止まりの人間のこと。
16、17歳ならば普通であるような幼さ、思考を、
ハタチ過ぎてもズルズルと引きずっているような人です。
この「永遠の少年」とは、
もともとは古代ギリシャの神に由来する言葉。
成人を迎える前に亡くなった
オヴィデイウスという神が、
太母(グレートマザー)の子宮のなかで再生し、
少年として再びこの世に生まれ、
決して成人しない英雄となる…。
ユングはこの神話(転身のストーリー)に由来し、
大人になれない人間のことを
「永遠の少年」と呼んだのです。
ちなみに、この永遠の少年の元型(アーキタイプ)は、
ギリシア神話のみならず世界各国の神話や伝説、民話、
お伽話にも出現しています。
日本の昔話も例外ではなく、例えば桃太郎や金太郎、
一寸法師も「永遠の少年」モチーフの一種と言われています。
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