経済なんでも研究会

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10週間連続で上昇 : ガソリン価格 (下)

2017-11-29 08:38:30 | エネルギー
◇ 世界同時好況で需要が増加 = OPECの減産については、盟主サウジアラビアの政情不安が問題視されている。サウジの内情がガタつけば、OPECの結束は乱れるという予測だ。しかしムハンマド皇太子は着々と地歩を固めているようにみえ、OPECの減産協定が破れる可能性は小さい。これは価格の押し上げ要因。その一方、アメリカのハリケーン被害は間もなく復旧する。これは価格の押し下げ要因として働く。

もう1つ、原油価格を押し上げている要因に世界同時好況がある。先進国だけではなく、新興国の景気も一斉に上向いており、これが石油の需要を増やしていることは確実だ。この点についての調査報告はまだないが、同時好況が続く限り原油の国際価格は強含み傾向を持続するだろう。その結果、価格がどこまで上昇するか。

過去の経験からみても、WTI相場が1バレル=60ドルを超えてくると、日本経済には問題が生じる。まず輸入金額が膨張して、貿易収支の赤字要因になりやすい。輸入金額の支払いを通じて日本人の購買力が海外に流れ、景気にとってはマイナス要因になる。さらに国内では、企業や家計の光熱コストが増加する。また全般的に、物価の上昇を招きかねない。

日銀が発表した10月の企業物価は、前年比3.4%の上昇だった。この上昇幅は9年ぶりの大きさ。主な原因は石油・石炭・LNG(液化天然ガス)の値上がりで、これらの製品は15.8%も上昇した。卸売りの段階で上がった物価は、間もなく小売り段階へと波及する。ガソリンや灯油だけでなく原油関連製品が値上がりすれば、企業も家計も苦しくなる。喜ぶのは、一部の石油関連企業と日銀だけだろう。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -9.75円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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