経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

サタデー自習室 -- 水の 経済学 ㉒

2017-09-02 06:54:56 | 
◇ 地方自治体の限界 = 日本の上下水道は、そのほとんどが地方自治体によって管理・運営されている。このため多くの自治体が、水道事業に関する豊富な経験を持っている。たとえば東京都の漏水率はアジア諸国の10分の1。料金の徴収率は100%に近い。こうした貴重なノウハウを海外に売り込めないか、こう考えている自治体は少なくない。

その東京都は10年に第3セクターの東京水道サービスを設立。ベトナム・ハノイで大型浄水場を建設する事業に参画した。また横浜市や北九州市なども、主として東南アジア諸国での事業に手を出している。だが自治体は上下水道の管理・運営能力には優れているが、インフラや部品に関する技術は個々のメーカーが握っている。このため単独での進出は難しい。

しかし自治体の職員は地方公務員であるため、民間企業には派遣できない。打開策として第3セクターを作ったりしているが、限界も多い。というのも総じて資金不足だからだ。多くの自治体は、国内の水道事業で多額の債務を抱えている。そのうえ海外事業で失敗はできないから、多額の投資には二の足を踏んでしまう。

もっと重大な限界もある.。国内の上下水道は、戦後から高度成長期にかけて整備された。その設備の大半が、間もなく老朽化で更新の時期を迎える。全国で1350もある水道事業者は、すでに合計8兆円の累積債務を負っている。その資金調達をどうするのか。海外よりも国内の本業に全力を尽くせという声も強いことは確かだ。

                       (続きは来週サタデー)

      ≪1日の日経平均 = 上げ +45.23円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  
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