経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

値上げの春に 考えること (下)

2018-03-09 07:28:24 | 物価
◇ 金利2%なら17兆円の収入増 =  理論的に言えば、物価はふつう需要と供給の関係で決まる。したがって景気がよく需要が強いときには、物価は上がりやすい。また物価は、原料価格や人件費の高騰によっても押し上げられる。家計が影響を受けるのは、この両方がもたらす物価変動だ。これに対して政府・日銀は景気を重視するから、需給によって生じる物価変動に着目する。

政府・日銀が、需給による物価変動を重視すること自体に問題はない。だが、そのために日銀が2%の物価上昇を目標とする金融緩和政策を推進すると、大きな副作用が発生する。そのうちの1つが、銀行に預金しても利子が付かなくなったことだ。いま個人の預金額は約860兆円。仮に2%の利子が付けば、家計は年間17兆円の収入増加になる。ゼロ金利から5年、家計は80兆円以上も“正常な状態なら得るべき所得”を失ったと言えるだろう。

総合指数でみた物価は、年々1-2%ほど上昇する。このため給与所得だけではなく、年金収入も目減りする。さらに利子所得はゼロ。これでは家計は節約するしかない。だから消費は増えず、景気はよくならない。この間、株を買って儲けることができた人はいい。しかし大多数の人々は、日銀のゼロ金利政策に泣かされている。

原材料やエネルギーの価格が上がっても、末端では個人が節約に走る。そうなると、個人を相手とする小売りやサービス業者は仕入れ価格を転嫁できないから、商売が苦しくなる。こんな状態を続けていいものか。日銀は再考すべきだろう。安倍さん、消費税の再引き上げどころではありませんよ。

      ≪8日の日経平均 = 上げ +115.35円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ

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