マティス米国防長官
[ジェームズ・マティス米国防長官]

 【シンガポール=千葉倫之】
 稲田朋美防衛相と米国のジェームズ・マティス国防長官、豪州のペイン国防相は3日、訪問先のシンガポールで会談し、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発について「最も強い表現で非難し、非核化に向けた具体的行動をとることを促す」とした共同声明を発表した。

 また、先進7カ国(G7)首脳会議での合意を念頭に「今は対話ではなく、圧力を加えるべきだ」との認識で一致し、中国の関与が重要だとの認識も共有した。

 中国による強引な海洋進出に関しては「南シナ海を含め、航行と飛行の自由、合法的な海の使用を擁護していく」と強調。
「一方的な現状変更のために威圧、武力を行使することに強い反対」を表明し、全ての当事国に対して埋め立ての停止、係争地の非軍事化や挑発の自制を求めた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が「行動規範」の枠組みに合意したことには「留意した」との表現にとどめ、実効性ある規範の合意へ、対話を続けるよう呼びかけた。

 声明は東シナ海についても項目を設け、「現状を変更し緊張を高めようとする一方的、威圧的な行動への強い反対」を表明し、東シナ海問題でも緊密に意思疎通を図ることで一致した。

 一方、稲田、マティス両氏は個別に日米防衛相会談を行い、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(沖縄県石垣市)への適用を確認。東シナ海の安定や南シナ海への関与をめぐり、協力を深化させていく方針で一致した。

 また、「日米同盟の抑止力、対応力をいっそう強化する必要がある」との認識でも一致し、日本海で自衛隊と米軍の原子力空母が実施した共同訓練について「歓迎」を表明した。在日米軍再編計画を着実に進めることも確認した。
産経新聞6/3(土)

[マリズ・アン・ペイン豪国防省と稲田朋美防衛相]
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