【秋嵐】~大宮~ UB.2 | Blue in Blue fu-minのブログ〈☆嵐&大宮小説☆〉

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嵐、特に大野さんに溺れています。
「空へ、望む未来へ」は5人に演じて欲しいなと思って作った絆がテーマのストーリーです。
他に、BL、妄想、ファンタジー、色々あります(大宮メイン♡)
よろしかったらお寄りください☆

 

 

 

 

 

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「で?」

「で、って?」

「どんな奴なの。ソイツ」

 

フローリングに敷いた麻素材のラグにペタリと座って、俺の作ったチャーハンをモクモク食べてる和に聞く。

 

「…オレの好きな人?」

 

 

スプーンが止まって代わりにキョロリと瞳が揺れた。

 

「そう」

 

少しの間のあと、

 

「部活の先輩。松本っていう人」

「あー、ソイツ知ってる。めっちゃイケメンだろ」

「うん。彼女とかもいるみたい」

 

そうサラリと言って、またスプーンが動き出した。

 

 

 

 

ドタバタの風呂上がり、

 

お前はちっともおかしくないんだ、いくらでもそんな人はいる。

今の世の中、何でもアリだ、テレビにだってみんな堂々と出てるだろ、結婚だって出来るんだぞ…

 

擦りむいた腰骨にバンドエイド貼ってくれてる和に、思いついたあらゆる言葉を尽くした甲斐があって、

かずは自分のことをポツポツと話してくれた。

 

5年生の頃からヘンだと思っていたこと。初恋も男の子だったこと。

 

そして、今のココロ。

 

松本とは友達だけど、こんなキモチを知られたらきっと嫌われてしまうと、毎日がちょっとキツイということ。

 

「そっか」

「で?」

「で、って?」

「なんかアドバイスとかしてくれんじゃないの?」

「んー…」

 

沈黙。

 

「分かんね」

「分かんないのかよ」

「俺にはムズイ。もちょっと考えさせてよ」

「まぁ、雅紀に答は求めてないけどね」

「何だよ、それ」

「聞いて欲しかっただけだから」

「そうなの?」

「うん、こんなこと、他人に相談したってしょうがないでしょ。自分で自分を受け入れて認めてやるしかないじゃん」

 

 

「ほぉー…」

 

柔らかそうなほっぺ一杯にチャーハン頬張って、もごもご言う。

すげぇな。とっくに自己解決出来てんだ。

 

「…ただね、雅紀にだけは受け入れて認めて欲しかったのかも。ほかにの誰より雅紀に拒否られんのが、怖かった」

「お前なー、俺がかずのこと拒否るワケねーじゃん」

「うん、そう思う」

「だろ?長い付き合いなんだぞ。それっぽっちのことなんでもねぇよ」

「…それっぽっちのことなんだ」

「かずはかずじゃん」

 

ぱぁっとかずの表情が明るくなって、俺、正解言えたって思った。

 

「ごちそうさまっ!」

 

アイス食べよー、って空っぽの皿持って立ち上がるかず。

 

目がさ、キョドってた。

大人びたこと言ってても、ほんとは怖くて堪んなかったんだろ?

バカなヤツ。

お兄ちゃんがそんなことでお前を突き放すわけねぇじゃん。

 

マジ、バカにすんなって感じ。

 

「こんな高級アイス、ぜいたくー。雅紀にはガリガリくんで充分なんじゃないのー?」

「うっせ、黙って食え」

 

にこにこ美味そうにチョコチップアイスをスプーンですくってる。

 

俺はね、ほんとはガリガリくんのが好きなんだぞ。

そのめっちゃ高いコンビニアイスは、お前が好きだからストックしてんだろが。

気付いてねぇのかって。

 

 

和の想い人の松本は、俺の2コ後輩でかずの1コ先輩で、見てくれだけじゃなく中身も男気のあるいいヤツだ。

高校ン時バスケやっててわりと目立ってた俺んとこに、新聞部の松本が時々インタビューに来てた。

見た目に合わない礼儀正しさと、真面目なくせに天然ボケなとこが面白くてよくからかってた。

女子にもかなり人気があったけど、中学の頃から付き合ってる同じ年の彼女がいて、その子一途だって言ってた。

 

 

最初から報われること無いって割り切ってんのかな。

 

あ、三角関係にもなれないってことか…。

 

テレビのバラエティー見ながらアイスぱくついてるかずを見て、なんか、辛くなった。

 

「なに?食いたいの?ガリガリくん、あったよ」

「ガリガリくんはアイス界のレジェンドだぞ。バカにすんなよ」

「ふふ、バカになんてしてない。オレも大好きだもん」

 

松本はダメかもしんないけど、この先、どうかかずに幸せな恋が訪れますように。

 

いつか、『かずじゃなきゃ!』って言ってくれる人が現れますように。

 

俺は心から願った。

 

「あー、美味い」

 

幸せそうな顔しちゃって。

 

大好きな可愛い弟分がそんな笑顔見せるんなら、アイスぐらい何個でも買ってやるからな。

 

 

もし誰も現れなかったとしたら、俺がずーっと傍にいるから。

 

これまでと一緒、なんも変わんねぇんだぞ。

 

 

覚えとけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

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