社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

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「認知症高齢者支援におけるソーシャルワーカーの代弁プロセス‐地域包括支援センターの社会福祉士に焦点をあてて‐」

2017-05-29 11:22:47 | 社会福祉学
久松信夫/著 『社会福祉学』第57巻第4号 2017年

 利用者(患者)の代弁者としての機能をソーシャルワーカーが有していることは、周知のことである。
本論文では、その機能がどのような段階を経て形成され、そして継続しているのかをインタビュー調査を通して明らかにしている。

引用
・認知症高齢者の代弁を行う際には“時宜”と“場”の設定が必要だと考えられる。家族介護者への代弁の時宜が早いと、認知症高齢者本人の意思などを受け入れる余裕がなく、逆効果(拒否や不信感)になる恐れがあるため、どのタイミングで代弁を展開するかの見極めが重要な要点となる。

・ソーシャルワーカーが認知症高齢者を代弁する際のプロセスは、大きく三つの段階(代弁前段階、代弁段階、代弁後段階)に区分される。

・認知症はその症状特性と進行性のため、言語的コミュニケーションが次第に成立しにくくなることが多い。そのため、代弁技術を維持・向上していくには、コミュニケーション技術を駆使した“関係性”の保持・向上にソーシャルワーカーは努める必要がある。


 インタビュー調査によってカテゴリー化された言葉は、そのひとつひとつに援助者側の苦悩や工夫が感じられ、認知症高齢者を目の前にした時に、どのように声をかけるべきか、何を把握するべきかを知る手がかりになる。
 認知症高齢者のみならず、自身の訴えを的確に表現できる人は、そう多くない。ひとりひとりの望み、考え、気持ちなどに向き合うには、ソーシャルワーカーが持つ、己の技術や知識を日々向上させていく必要があるのだとあらためて思った。

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