社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

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「在宅療養支援診療所ソーシャルワーカーの業務の実態に関する調査」報告 山﨑まどか、西出真悟、佐野晴美、藤田譲、岡村紀宏

2018-02-11 06:44:57 | 社会福祉学
『医療と福祉』No.103:24-30 2018年

 保健医療ソーシャルワーカーの職能団体である、日本医療社会福祉協会が研究部門を設け、初めて組織的、継続的に在宅療養支援診療所に所属するソーシャルワーカーの実態調査を実施。その結果を報告している。

引用
・地域包括ケアシステムの構築にむけて、在宅療養支援診療所は生活を医療の面から支える重要な位置づけにあり、その機能を十分発揮するためにはMSWの働きに期待される。
・(診療所管理者からの回答)自施設にMSWが不足していると感じている医師が55.2%、さらに社会全体に不足していると感じている医師が89.6%であった。
・(診療所管理者からの回答)MSWの貢献度について、「関係機関との連絡調整」が96.6%と最も多く、続いて「患者家族、スタッフとの仲介役」であった。

・「考察」より
 ⇒・訪問診療が開始された後には、多くの在宅療養支援診療所MSWが緊急時やレスパイトなどを目的とした入院調整も行っており、昨今の在宅医療における重点課題に対応し寄与していることが示された。
  ・在宅療養支援診療所MSWと病院MSWはそれぞれの接合面で、ソーシャルワークをつなぐことが求められる。(中略)病院MSWも在宅療養支援診療所MSWの置かれている状況や機能を把握し、相互理解を深めることが必要である。


 私が在宅療養支援診療所に入職したのは、1999年であった。仲間であるはずの病院に所属するソーシャルワーカーたちからは奇妙な存在として見られ、介護保険が始まってからは、ケアマネとの役割分担に苦悩した。
そして存在を知ってほしい、理解して欲しいという思いから、大学院で研究をし、このブログを始めた。それから20年近くが経ち、職能団体が専門部会を立ち上げたことを知り、何とも言えない安堵感と嬉しさがこみ上げた。
大学院時代の先生に、「本当に必要だと思うのなら、言い続けなさい。変な目で見られても、必要なものならばいつか絶対に注目される」と言われていたが、本当にそうなんだと痛感した。

 いまもきっと、マイナーな存在だと思われながら、ひとり職場で、もんもんと業務と向き合っている在宅療養支援診療所のソーシャルワーカーはいるはず。どうぞ全国に仲間がいることを知り、自分たちが専門的な知識とスキルを持って、患者家族の支えになっていること。そして社会全体に今後も必要とし続けられるべき職種であることを知ってほしい。
 在宅療養支援診療所のソーシャルワーク業務は、本当にしんどくて、課題が多すぎて投げ出したくもなるけれど、それ以上に刺激的でやりがいがあり、おもしろい仕事だと私は思う。この領域で今後より一層、ソーシャルワーカーが存在し、期待され、楽しく仕事をして欲しいと願っている。
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