飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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プーチン大統領、日米安保条約を理由に北方領土交渉の長期化を示唆!

2017年11月13日 00時05分51秒 | Weblog
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プーチン露大統領は11日、ベトナム・ダナンでの記者会見で日米安保条約に言及し、「安全保障での分野で日本がパートナーとの間で負う義務を検討しなければならない」と述べ、日米安保条約に関する議論が領土交渉のキーポイントであることを強調した。

また、大統領は平和条約締結に向け、「課題解決は大きな作業で、1年間では終わらないかもしれない」と述べるとともに、「誰が政権の座にあるかに左右されない。安倍かプーチンかといったことは重要でない」と指摘した。

これらの発言は、現行の日米安保条約が存在する限り、北方領土の返還は困難との見方を改めて示したもので、日米同盟の一層の強化を目指す安倍政権は戦略の見直しを迫られることになる。

この記者会見の前日、安倍首相はプーチン大統領とダナンで首脳会談を行い、日本側は北方領土問題では「目立った進展はなかった」と発表していた。両首脳は通訳だけを同席させて平和条約交渉に関してサシの会談を約15分間行ったというが、その中身については公表していない。大統領の会見から推測すれば、日米安保条約に関し両首脳はこれまで以上に突っ込んだ協議を行ったとみられる。だが、日本側がこの点について口をつぐんでいるので、大統領はけん制の意味で会談の内容を一部明らかにした可能性が高い。

プーチン大統領が北方領土問題に関し、日米安保条約への懸念に直接言及したのは、今年6月の世界主要通信社代表との会見に続いて2回目。この時の会見で大統領は「(北方四島が)日本の主権下にはいれば、米軍の基地が置かれる可能性がある」と警戒感を示していた。北方領土の非核化に関する質問に答えたもので、さらに大統領は「米国のミサイル防衛システムが(北方四島に)配備されるかもしれない。ロシアとしては受け入れられない」と強調していた。

安倍首相は、トランプ大統領との関係を強化して北朝鮮の脅威に対抗する一方、軍事大国化する中国への抑制策を米側に求めており、日米安保条約を変更したり、廃棄したりする考えはないだろう。だとすれば、ロシア側と妥協する余地はなく、北方領土交渉の進展は当面望めそうもない。

安倍首相はプーチン大統領との個人的関係や経済協力で領土交渉の扉をこじ開けようとしているが、今の国際情勢ではプーチン政権が続く限り、交渉が改善される余地はないと言っても過言ではない。

安倍首相はもはや八方塞がりの状態に陥っているが、そうした状況を国民に説明せず、詭弁を弄している。今こそ、国民に現状を丁寧に説明して、今後の領土交渉の方向性を国民に問うべきではないか。(終わり)
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