別居してしばらく、縁を切っていたら、夫、すがりつく。
手紙下さい、電話下さい。顔を見せてください。
と、手紙を家の前に置いていた、バイクのかごの中に、どんどこ入れてくる。
時すでに遅しなのだが、お姑さんからも、
何度も電話がかかって、あんたの息子なんぞ知るかと怒鳴っても、
助けてくださいと、後から泣きそうな声で電話がかかってくる。
夫は、肝硬変で酒を飲んでいて、医者からは永くないとは言われていた。
病人らしく、しおらしくしてりゃこっちも考えるのだが、
病人との生活は戦いであった。夫の場合は。
酒を飲んだ病人は始末に負えない。
とりあえず、病院には一緒に付き添う事になった。
過去6回倒れ、血圧190、薬が出ていたし、脳のイカレ具合が心配だったので。
配偶者の立場が呪わしい。
病院に行ったある日の事。
いきなり内科の外来に行って、
薬をもらいに来たのですが、どうしたらいいですか
と、看護婦さんに、夫、尋ねる。
看護婦さんが受付を通してくださいと案内すると、受付に向かった。
どうしてそんな事聞いたのかときくと、
たまにしかこないから、勝手が分からないとの事
病院に行って、受付を通す事が分からないのだ。
看護婦さんも、驚くというより、怯えていた。
後に先生にこの件を話し、簡単な認知テストがあった。
100-7=93 93-7=86 86-7=79
が、計算できなかった。
アルコール性認知症である。
遂に夫、イカレる。
イカレても、この子は夫を慕ってくれる。ありがとう、にゃあちゃん