【 大阪天満に行った帰りの話 】
ガラっとした天満駅のホームの奥で、私は一人電車を待っていた。
そこへ、、、
団塊世代と思われるグレーのキャップを被ったカジュアルな服装の中肉中背のおっさんが、
「俺 メガネの女 嫌~い」 と言って、私の前を通り過ぎて行った
大きい声で元気よく。
背筋を伸ばして堂々と。
えっ!? 私のこと? 私しかいない・・・
こんなおっさんに言われるなんて終わってる・・・
悲しい集まりの帰で心が弱っていたところへ、追い打ちをかけるようになんなんだ・・・
ショボ~ンとしながら前を見ると、
ホームの前の方に立っていた、ホームレス一歩手前といった風貌のやせ細ったおっちゃんと目が合った。
おっちゃんは、外人みたいに、両手を広げ、首をかしげ、肩をすくめるジェスチャーをしている。
えっ?
私の方を見て、何度もこのジェスチャーをする。
もしかして、私を慰めてくれているのか?
私は、よっぽど悲しげな顔をしていたんだろう。
おっちゃんに、少し笑みを浮かべて会釈した。
電車が到着した。
グレーのキャップのおっさんの乗った扉の一つ手前の扉にジェスチャーのおっちゃんが乗った。
私は、ジェスチャーのおっちゃんの扉が近かったが、なんとなく同じところに乗りづらかった為、もう一つ隣の扉から電車に乗った。
次の駅 大阪駅に到着した。
天満と違ってホームは多くの人でごった返している。
私は大阪駅で電車を降りた。
ジェスチャーのおっちゃんは降りたかな?
お礼が言いたいなぁ・・・と思って、おっちゃんを探した。
おっちゃんも降りていた
おっちゃんは、ホームを歩いて行き、私は近くの階段を下りた。
あ~あっ・・・お礼が言いたかったな・・・心残りだ。
改札を出て、トボトボ歩いていると、後ろから
『 心の中で塩まいときやっ 』
と力強い声が聞こえたので振り向くと、おっちゃんだ
私 「 ありがとうございます」
お礼が言いたくて気になりながら歩いていたので嬉しかった。
私 「 悲しい時にあんなこと言われてびっくりしましたよもぉ~ 」
『 心の中で塩まいときっ 』
『 なっ 』
おっちゃんから再度励ましの言葉を頂いた。
私 「 ありがとう 」 心を込めてお礼を言った。
おっちゃんは雑踏に紛れていった。
優しい人間性が心に沁みた。
おっちゃんのお陰で、おっさんに嫌なことを言われ落ち込んだ気持ちから、心が温まる記憶に変わった。
おっちゃんもきっと他人に嫌なことを言われた経験があるんだろうな。
辛い人生を乗り越えてきたんだ。
それにしても、目ヂカラがあったし、声にハリもあった。
辛い経験はしてきたんだろうけど、心は健康なんだと思った。
浮浪者一歩手前なんて失礼なことを思ったが、午後4時頃だったので、飲食店の厨房で働いていて、晩のお客さんの料理の為に、天満のスーパー玉出に買い出しに行っていたのかな。
おっちゃん ありがとう~
(下町風の人懐っこい笑顔の人だったので、”おっちゃん”と表現させていただきました)
1年前、元気だった頃の私。
戻りたい。
やり直したいです。
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