王様は、おや、と思って言いました。
「今までの話で、邪気が体にとどまると病になる、というから、
邪という字は、悪い、という意味かと思っていたぞ。
つまり邪気は、正しくない気、という意味なのだな。」
岐伯はこたえて言いました。
「そうですね。
さすが王様、漢字の学びにもされるとは、とても立派です。
では、次には、邪気についての五行を、お話ししましょう。
邪気が体に入ると、
はじめは皮毛、次に肌膚と入ってきます。(王様と東西南北14)
そうして、邪気がだんだん深くなり、ついに経脈に入ると、
気が正しく流れなくなります。
邪気が
陽脈に入る時は、むやみに飛び跳ねる犬のようになり、…①
陰脈に入る時は、しびれて感覚が無くなります。…②
邪気が、
陽脈をぐるぐる回る時は、めまいや立ちくらみになり、…③
陰脈をぐるぐる回る時は、しゃべれなくて、オッオッとしか言えなくなります。…④
邪気は、
陽脈から陰脈へは、静かに行きますが、
陰脈から陽脈へは逆なので、とても苦しみ、病は決して治りません。…⑤
これが、五乱です。」