王様は、岐伯に聞きました。

 

「岐伯は前に、脾が病になると、

手足に力が入らなくなる、と言っていたな。(王様と真臓脈12

それは、どういうことだ?」

 

岐伯はこたえて言いました。

 

「では、その前に、脾について、お話ししましょう。

 

脾とは、五行の土の臓であり、

いつも必ず、胃のそばにいます。

 

胃は、食べ物や飲み物から、胃の気を取り出しています。(王様と健康な人12

この胃の気が、体じゅうに行き渡ることで

人は、生きることができます。

 

しかし、胃が取り出すからといって、

胃から直接に、胃の気を受け取ることは出来ません。

胃の気は必ず、脾のところに行って、そのあとに、受け取ることが出来ます。

近道をすることは出来ません。」

 

 

岐伯は続けて言いました。

 

「脾は、飲み物の水分から、津液を作ります。

津液とは、体の中をうるおすための液体です。

脾が、胃から食べ物と飲み物から取り出した水穀(谷)の気を受け取ると、

作った津液に混ぜて、体じゅうに行き渡らせていきます。

 

しかし、脾が病になると、津液が作れません。

胃が水穀(谷)の気を取り出したとしても、津液が無ければ、

体じゅうに行き渡らせることが出来ません。

 

すると、日に日に体は衰え、

経脈は正しく流れなくなり、

筋・骨・肌・肉、すべてが正しく保つことができなくなります。

 

手足も同じく、水穀(谷)の気を受け取って動いていますので、

水穀(谷)の気を受けることが出来なくなれば、

正しく動くことが出来なくなるのです。」