岐伯は続けて言いました。
「邪気が腎に進めば、
はじめに、腰が痛くなります。
足の力が抜けてだるくなり、のどが渇いたとよく飲み、熱が出ます。
邪気が腎に近づき、腎の精気が入られないようにと戦っているときには、
うなじが痛くてこわばります。
足が冷えて冷たくなり、力が抜けてだるくなります。
膝から下が熱くなってくると、しゃべりたくなくなります。
病は戊己の日にひどくなり、
壬癸の日には、大汗をかきます。
精気が戦いに負けて、腎に邪気が入ってしまうと
うなじが痛くなり、
頭がグルグルして、押し付けられるように重く痛みます。
そして、戊己の日に死にます。
治療は、足の少陰腎経と太陽膀胱経を刺します。」
王様は、感心して言いました。
「医者は、病のことを本当によく知っているなあ。
熱の病でも、熱が出る前に症状があって、
熱が出る前から、病が始まっているのだなあ。」
岐伯はこたえて言いました。
「いいえ、王様。
実は、はじめの症状が出るよりも前に、
すでに体には変化が現れています。
医者はそれを見て、まだ何も症状がない病を
知ることが出来るのです。」
王様は、びっくりして言いました。
「それは、体のどこに現れるのだ?
知りたいぞ、知りたいぞ!」