暗闇のホームレス

前回のブログ「一人暮らし 2」では、一人前のカイロプラクティックの治療師になるため、一人暮らしを志す。大晦日の夜に、下北沢で終電となったため、徒歩で亀有を目指して歩き出すこととなる。途中、謎のイラン人に後を付けられ、ハラハラドキドキ。その後、偶然に出会ったお巡りさんに救われるというお話でした。

今回は、お巡りさんと別れてからの、道のりをお伝えいたします。四ツ谷駅付近でお巡りさんと別れ、私は皇居の方角へ歩き続けました。東京出身の私ですが、同じ東京といっても町田の出身なので、完全に田舎者で、このあたりの土地勘は全くありません。

寒空の下、布団と毛布を手に、カイロプラクティックの学校のある亀有駅を目指して歩き続けます。すると目の前に半蔵門が見えてきました。いよいよ皇居という所まで何とかたどり着いたのです。皇居のお堀に沿って、半蔵門から桜田門へ歩き、日比谷交差点を東京駅方面に進みました。

そして、東京駅の駅前に到着です。手に持っている布団と毛布の重さが、このあたりから、じわじわときつくなってきます。手がしびれてくるので、持ち方をいろいろ変えたりして、なんとか手が疲れない様にして耐えます。

東京駅の横を通り過ぎている時に、今でも忘れられないとても印象的な光景を目にします。ホームレスです。ここで多くのホームレスの方々に会ったのです。東京といえども、元日の未明、冷え込みはかなりなものです。ホームレスの方々も、少しでも風が来ない場所を見つけて、そこで寒さをしのいでいました。

ホームレス

一番人が多かったのが、地下鉄の入り口です。確か丸の内線だったと思いますが、地下に向かって階段を降りると、途中でシャッターに遮られます。そのシャッターまでの階段に、ホームレスの方々がびっしり固まって、寝ずに夜を明かしていたのです。薄暗い中に20人以上の人がいたでしょうか。こうして新年を迎える人もいるのかと思うと、何とも言えない気持ちになりました。

その地下鉄の入り口の向かいに、ベンチがあり、そこにもホームレスの方が腰かけていました。よく見るとその方は、初老の女性でした。この時まで、女性のホームレスを見たことが無かった私には、大変ショッキングな光景でした。北風が吹きつける公園のベンチで、ただ震えながら夜明けを待つこの女性に、何か施しをしようかと思いましたが、何故かそれをする勇気が出ず、そのままそこを素通りしてしまいました。

今思い返すと、あの時、温かい飲み物でもさし上げていたら良かったのにと、大変後悔してるとともに、自分の不甲斐なさを情けなく思っています。

人は生れ落ちる環境や、その後の境遇によって、様々な人生を送りますが、屋根のある家もなく、暖かい布団もなく、食べるものも満足に得られず、助けてくれる家族もいない人々が、こうして年越しをしていました。この姿を目の当たりにして、自分はどれだけ恵まれているのかを、この方々に教えられた気がします。

そんな思いの中、自分も頑張らなくてはと思い、東京駅を後にします。その後の詳しい経路はあまり覚えていませんが、隅田川を渡って、両国に行ったのは覚えています。こあたりまでくると、布団を持っている手はかなり限界になってきて、感覚が無くなってきたので、頻繁に持ち替えて何とか、だましだまし歩くといった感じです。

そして、脚の方にもその重さがかかり、疲労の色が濃くなってきました。そのような状況でも、道路標識などをよく見ながら、何とか亀有駅の方へと歩き続けます。両国といえば、国技館のある街で、相撲とゆかりのある土地です。キングサイズの服屋さんの看板が目に留まり、さすがに相撲の街だと思いながら、動かなくなってきた足を引きずり歩き続けます。

もうどのくらい歩いたでしょうか。布団と毛布を持っての移動で、もう体も限界でした。そして、いつの間にか空も白み始めていました。

一人前のカイロプラクティックの施術者を目指してのひとり暮らしでしたが、極限の疲労の中、俺は何でこんなことをしているのだろうと、後悔の念も湧き上がってきました。

ここから亀有までは、あとどのくらい歩けばいいのだろうか? もう歩けない!限界だ!

手ぶらなら、まだまだ歩けただろうが、やはり布団と毛布を持っての徒歩での移動は無謀でした。とうとう足も出なくなり、腕の感覚もなくなってきたため、無念のギブアップです。

都営浅草線の本所吾妻橋が私が今回歩いた限界の場所で、ここでタクシーに助けを求めました。倒れ込むようにタクシーに乗り込み、運転手さんに行き先を告げると、もう歩かなくていいという開放感から、本当に助かった!との思いでいっぱいでした。

そんな私に、運転手さんが「良かったね!たった今、深夜料金から通常料金に戻ったよ」とにっこり笑っていってくれました。金の無い私にはとても嬉しかったですが、そんなこともを考える余裕もないまま、タクシーに乗り込んでいた自分は、本当に心身ともに限界だったと思いました。時間にしたら5時間以上、道のりとしては、約20㎞位は歩いたと思います。

程なくして、タクシーは足立区の東和荘に到着。安堵するのも束の間、これからもいろいろな事が起きるのです。

次号へ続く・・・

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