厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の報告書案(2018年3月27日)には、「クレーマーハラスメント」や「カスタマーハラスメント」といった耳慣れない用語が提唱されました。
これは流通業界や介護業界、鉄道業界での顧客や取引先からの暴力や悪質なクレームなどの著しい迷惑行為のことを指すもので、このような名称を浸透させることで社会的にそうした迷惑行為を防止するよう啓発したいとの趣旨です。

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厚生労働省がこのような悪質クレーマー行為についての問題を採り上げるようになったのは、産業別労働組合のUAゼンセンが5万件を超える「悪質クレーム対策アンケート調査」を公表し、その対策に向けて2万3985筆の署名簿などを加藤厚労大臣宛に提出したという経緯があったものでしょう。



UAゼンセンの悪質クレーム調査に5万件超回答の衝撃|厚労省に訴え|遠山桂ブログ(2017年12月02日)


こうした要請に対し、厚労省は報告書で見解を示したことになります。

報告書では「顧客や取引先からの著しい迷惑行為については社会全体にとって重要な問題であり、何らかの対応を考えるべき」としながら、「この問題は消費者問題や経営上の問題として対応すべき性格のもの」との仕分けを行い、消費者庁や経済産業省にバトンを渡しています。

それはもっともな指摘であり、悪質クレーマー問題は消費者教育と事業者対応によって対策するのが本筋なのは明かです。筆者も悪質クレーマー行為が消費者対応部門を疲弊させている実態を把握して、行政が早期に対策に着手すべきと当ブログにて書き続けています。
消費者庁と経済産業省は厚労省からのバトンをしっかりと受け止めて頂きたいと思います。


苦情と過剰請求に困惑する相談現場と消費者教育の視点シフト|遠山桂ブログ(2016年09月16日)


追記
2019年5月29日に厚生労働省所管の労働施策総合推進法が改正され、職場でのパワハラ等のハラスメント防止対策について事業者に義務化されるようになりました(施行は2020年以降)。
その改正事項の中に「消費者対応をする従業者のカスタマーハラスメント被害を防止する対策」も加えられており、厚生労働省はこの分野の仕事をしているといえます。

消費者庁も2019年7月に公表した消費者意識基本調査において「消費者からの過大請求」についてガイドライン整備が求められていることを述べており、カスタマーハラスメント対策について検討がされているようです。




パワハラ防止の義務化が2020年より。カスタマーハラスメント対応も明文化。|遠山桂ブログ(2019年05月29日)



消費者からの過大な要求について78.6%の消費者が事業者に理解を示す|消費者意識基本調査2019年より|遠山桂ブログ(2019年08月05日)



厚労省の報告書では、「クレーマーハラスメント」や「カスタマーハラスメント」という名称を浸透させることで周知・啓発を行い、社会全体で機運を醸成してくことが必要と提唱されたので、これを消すこと無く取り組みが継承されることを願っています。

もし、クレーマーハラスメントやカスタマーハラスメントという用語が定着するようになれば、その通称は「クレ・ハラ」や「カス・ハラ」になるのでしょうか?
「カス・ハラ」だと蔑称的な意味合いを含めてツイッターで乱舞する様子が想像できてしまいます。


※下記のリンク先は飲食店での悪質クレーマーへの対応や予約の無断キャンセルでお困りの場合の対策についてご提案です。


飲食店の無断キャンセルや悪質クレーマー対策の利用規約(雛形)|遠山行政書士事務所


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