【妄想男子と恋のゆくえ。】102
森の家の浴室には、いい香りのするボディーソープが置かれていて、念入りに泡立てると身体の隅々まで洗った。
アイツからいい匂いがするのはこれか......。森と同じ匂いになるって変な感じ。
そう思いながらしっかり流すと、浴室から出た。
棚の上には、森が置いてくれた着替えが畳んであって、それを広げてみると...............。
- おいおい、これは何?
ほっそい紐の様なパンツが、大きなTシャツと一緒に置かれていた。
しかも、ジャージとか無くて、Tシャツ一枚だけ。
- そりゃあ、森のサイズは俺には大きすぎるだろうけどさ、なにもTシャツだけにしなくても.....。それに、このパンツはどうやって穿くんだ?丸出しになっちゃうんだけど.........。
ちょっと心もとないが、一応穿いてみた。
.........、やっぱり、尻に布が当たるようにしたら前はとても隠せない。
こんなパンツ、森は穿いてるのか?まさか、な。
仕方なく、反対にして穿いてみたら、なんとなく収まった感じ。尻に食い込んだ紐が気色悪いけど、そこはガマン。あとで森に違うパンツをもらおうと、バスタオルを頭にかぶってリビングへと行った。
「あ、どうだった?サイズ良かったかな.........。」
ドアを開けるなりそう訊かれるが、俺は俯き加減になると「Tシャツ、ダボダボ。しかもパンツはどうやって穿くんだか分かんねえし。森、これってオシャレなの?」
「どれどれ、ちょっと見せて。」
そう言うと、俺に近寄って来た森がTシャツの裾を持ち上げた。
「あっ、ちょっと、見るなよ!」
慌ててTシャツを下げると、森の足を蹴ったが、ビクともしない。それどころか、俺の身体をくるりと回して背中を自分の胸に当てると、そのままギュっと抱きしめて来る。
「や、......ちょっと、......」
後ろから抱きつかれると、自由を奪われて動けなくなる。
森は大きな手で俺の胸を支える様にするが、その内指が下に降りて来て、俺の小さな布の辺りを探った。
「やだ、くすぐったいよ!離せって!」
「ダメ、離さない。ケンちゃんが可愛いお尻を見せるのが悪い。」
そう言われても、このパンツを出してくれたのは森だ。見せたくて見せている訳ではない。
「何なんだよこの紐パン。紐がケツに食い込んで痛いんだけど。他のにしてくれよ!」
「............痛いんだ?!じゃあ、別のにするか。」
そう言うと、やっと俺の身体を解放してくれた。
森のTシャツは俺の太ももを隠す程長くて、その姿でソファーに腰を降ろすと、思い切り裾を引っ張って膝のあたりまで伸ばす。
女の子ならカワイイんだろうけど、男の俺がTシャツ一枚って.......なんか変。
「じゃあ、これならいいんじゃないかな、昔友達が誕プレにくれたヤツ。まだ穿いてないし、オレにはちょっと小さいと思って取って置いたんだ。」
手にしたパンツを胸の前で広げると、何やら形状が変で。
前から見ると普通のボクサーパンツ。
でも、後ろがやっぱり開いていて、どう見ても尻が丸出しになるヤツだった。
「普通のはないのかよ!この際ブリーフでもトランクスでも、兎に角尻の出ないヤツを貸してくれよ。」
俺は森に懇願した。こんなんじゃ落ち着いて眠れない。
「.........もう、.....どうせすぐに脱ぐんだし.......」
「え?」
「や、何でもない。じゃあ、オジサン用に買っておいたパンツがあるから、それを出してあげる。」
くるりと背中を向けると、森はリビングから出て行った。
その隙に、自分の尻を撫でてみるが、紐でヒップアップしているのか、プリンっとしていて確かに触り心地は良かった。
- 森に穿かせてみたいな・・・・・
そんな妄想をしつつ、ようやく普通のトランクスを持ってきてもらうとその場で穿きかえる。
もちろん、じっとそれを見ている森の視線は気になるんだけど、変に恥ずかしがっても可笑しいし.....。
素早く穿き替えた俺は紐のパンツを森に渡す。
「残念だな~、これ、可愛いのに...........。」
ひとり呟きながらそれを洗面所に持って行った森。俺はソファーにもう一度腰を降ろすと、そこにあったブランケットを膝にかけた。
まだ10時だし、寝るにはちょっと早い。
「あ、俺、何処で寝たらいいんだ?布団ある?」
森に尋ねると、「オレのベッド」と言われ、流石に心臓が掴まれた様にギュンってなった。
戻って来た森は、俺の手を取る様に立ち上がらせると、そのまま自分の部屋へと連れて行く。
俺は何も言えなくなった。想像はしていなかったわけじゃないが、こんなに突然二人っきりになるだなんて.......。
嬉しいけど恐い。
「あ、あの、あの、........えっと、俺は........」
「大丈夫、ゆっくり寝かせてあげるから。」
「へ?.......ああ、そうなの?......うん、良かった。」
森の言葉で胸をなでおろす俺だった。
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