「先生。僕、真面目に神主になろうかな」

…あー…また妙な事を言ってきた…。

大真面目な顔でそう言って来たのは『衣谷 龍』。上記の通り…変な奴だ(笑) 


少し前にその衣谷から聞いた話だ。

旧暦の暦で10月を『神無月』という…。

 

神が無い月…伝承では日本中の神々が旧暦の10月に島根県の出雲大社に集まって会議をするらしい…。

 

つまり神が出張中で各地から居なくなる月…だから『神無月』というらしい…。

 

対照的にこの出雲では、10月の事を神が集まる月…『神有月』と呼ぶのは有名だ。

さて…この衣谷は、神々や神話に興味があるようで、『神有月』の事を知り、家族を説得して敢えて『神有月』に出雲へ旅行に行った。

 

その時の話だ。

 

彼が出雲へ到着し旅館で寝床に着いた夜、彼は金縛りにあった。

 

真っ暗な部屋の中、彼は複数の誰かが部屋の隅に座っている事に気が付いた…。

 

全く体の自由がきかない中、その人影たちが動きを見せた…。

 

そして彼を囲むように近付き、夜通し朝まで言い続けたのだ…。


「帰れ…。帰れ…。」


と。


気がつけば朝だった…が体は疲れていて、眠った気がしない…。



「あれは何だったんですかね…。」

これだけなら大した話ではない…。

 

ただの気味の悪い夢だ。

 

しかし…これからなのだ…。

 

僕はこの話である重要な事に気が付いた。

 

彼の未来に繋がる非常に重大な事実だ…。


僕は迷った…。

 

彼に伝えるべきなのかどうか…。

 

結局僕はその時、彼に伝えられなかった…あまりに残酷過ぎて…。

 



彼もこのブログを見てくれている…。

 

事があまりに重大なので、塾で彼の顔を見ながら伝えにくいので…この場を借りて伝えさせて頂きたい…。







「おい…龍…。非常に言いにくいんだが…。神が集まる『神有月』に出雲に行って…『帰れ…帰れ…』と一晩中言われまくるなら…さ。…お前…『神主』になんか絶対なれへんやん…。


論理的進路指導…『完』