その人は舞う。
その腕の一振りにも
思いを込めて。


試楽ながら、
藤壺の宮にお見せするための大事な催し。




紅葉に照り映えて
美しさは
いや増す光君です。




色恋の香は
入る余地のない
神に奉納する舞いでございます。

邪を祓い
打ち寄せる波を優雅に舞う。






息を呑む美しさ。


その美しさは
語り草となります。

〝あの折りの
    光君の
    お美しさといったら…………。〟



誰もが
そう語り、
それだけで通じ合う
その折りの美しさでした。


〝その美しさといったら……。〟




さて、
そうした美しさは
いかがでしょう。


どなたもが
胸に抱く
語り継ぐべき最高のとき。


源氏が
舞う姿は
それ以後描かれません。


青海波は、
光君の美しさの極致に結晶します。

その人生の最高のとき。
そして
伝説のときです。







光君の心の内は
御簾の奥のお方におありでしたが、


宮中の噂雀のトキメキに
ポイントを置きますなら
紅葉賀は
〝伝説のとき〟
なりますでしょう。


私は
ときに不思議になります。


〝違う星から来た〟
〝別次元〟
等々の言葉が飛び交った
世界最高得点の奇跡!!



オーサーコーチは、
あのときを
ボレロに匹敵すると語られておられます。


なぜ
彼のときに
伝説は結晶しなかったのか。


そして、
その答えも思うのです。


朱雀は
まだ飛翔していくからだと。



あれが
平昌の舞台であったなら
そこに伝説は結晶したのではないか。
そう
思ったりいたします。


羽生選手は
飛翔を続ける。


それが
あまりにも
はっきりしていて
物語のクライマックスは
そこではなかった…………。


凄まじい物語を体現なさるお方であることよ。
〝理想の先へ〟
私たち
観客も、
また、
その伝説の完成を待つしかありません。


愛するアスリートが
満足する
そのときを
共に迎えることができますように。


そう祈る今でございます。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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