【セラピストのための解剖学】
今回のテーマは「肩甲骨」です。
「肩甲骨美人」とか「肩甲骨はがし」
などさまざまな角度から注目されている
肩甲骨について解説します。
肩甲骨は第2~8肋骨の高さに位置し
鎖骨とともに上肢を体幹に引きつける
役割をしています。
私たちの腕が自由に大きく動かせるのは
上腕骨と肩甲骨(さらには鎖骨)の
緻密な協調運動によるものです。
裏を返せば、肩の動きの不具合の多くは
肩甲骨の問題であるともいえるのです。
またいかり肩やなで肩・巻き肩など
その人それぞれの姿勢の特徴(異常)にも
肩甲骨の位置が大いに関係しています。
そんな重要な役割をもつ「肩甲骨」の
◆部位と名称を覚えながら
正しく触れること
◆運動方向や左右の肩甲骨の
位置関係をみること
◆肩甲骨周囲の筋群とはたらき
から肩の動きや姿勢など
いろいろなことがわかるようになります。
肩甲骨の部位と名称
(上図)左肩甲骨の背側面
1.棘上窩 2.肩甲棘 3.棘下窩4.上縁
5.上角 6.内側縁 7.下角 8.外側縁
9.外側角 10.肩峰11.烏口突起
12.大円筋起始部 13.小円筋起始部
最低限知っておきたいのが
*上角と下角
*肩甲棘と肩峰
*内側縁と外側縁
の部位と名称でしょうか。
肩のリハビリテーションや治療の
臨床においても重要な部位です。
肩甲骨の触診法
これらの部位を正しく触れられると
左右の肩甲骨の位置関係を見る
肩甲骨周囲の筋肉を触知する
ことが可能になります。
➊肩甲棘~肩峰の触れ方
肩甲骨に大きく手を触れてみると
真ん中よりやや上に触れる骨が肩甲棘です。
肩甲棘を体側に向かって辿っていき
外側の先端部分が肩峰です。
肩峰のすぐ下に触れるのが上腕骨頭です。
❷肩甲棘~上角の触れ方
肩甲棘を背骨方向に辿っていき
肩甲骨のエッジに沿って少し上に
手を動かしていくと上角に触れます。
❸肩甲骨下角の触れ方
腕を背中に回してみてください。
肩甲骨の内側縁~下角が浮き上がり
簡単に触れることができます。
肩甲骨の運動方向と位置異常
❶内転と外転
背骨側へスライドする動きを内転
体側へスライドする動きを外転
といいます。
❷挙上と下制
❸上方回旋と下方回旋
下角が上外方へ回旋する動きを上方回旋
下角が下内方へ回旋する動きを下方回旋
といいます。
❹前傾と後傾
あまり知られていない運動方向です。
肩甲骨の上部が上前方へ傾く動きを前傾
肩甲骨の下部が下後方へ傾く動きを後傾
といいます。
上記からわかるように肩甲骨の運動は
3Dで捉える必要があるのです。
肩甲骨の位置や動きは
◆後方から
◆体側から(横方向から)
◆左右の比較から
捉えていくことが大切です。
少し長くなってきたので
この続きは次回にいたします。
●肩甲骨の位置異常の見方
●肩甲骨周囲の筋群の触診法
いよいよ本題に入ります、乞うご期待!