二日間の湯布院滞在の合間合間に、祥子さんが5月に大阪で
講習を受けて来た治療法で麻痺の治療をして下さった。
折角の温泉旅行で自分もゆっくりしたい筈なのに、祥子さんは
そういう人なのだ。
彼女は現在、管理薬剤師として調剤薬局に従事しているが、
有名国立大学と歯科大を二つ卒業し、薬剤師であると共に
歯科医でもあり、一般ピーポー脳の私には理解しがたい超才媛だ。
( 今は歯科医は辞めている )
頭が良いのに加え考え方が真っ当なので、現代の医療体制にも
疑問を持ち、管理薬剤師として諸々のジレンマを抱えつつ自分で
出来る最良の方法を模索し続けている。
その中で祥子さんが先月大阪で講習を受けて来たのが
「 血液循環療法 」 だった。
血液循環療法
BCT ( 血液循環療法 ) は悪いところ ( 患部、シコリ部 ) を直接指で、
ソフトな押圧法を施術して、血液の循環を良くする治療法です。
患部は多くの場合、血液の循環が悪くなっています( 瘀血・おけつ )
そこで、その部の毛細血管の循環を良くする手技を施術すると、悪い血液
( 炭酸ガス、痛み物質、毒素など ) が除去され新鮮な血液 ( 酸素、栄養素、
免疫細胞など ) が供給され、症状が直ぐに軽減し、治癒していきます。
日本で生まれた手技療法の元祖
明治43年小山善太郎先生により創始され、同い年で友人の徳富蘇峰氏
( ジャーナリスト、小説家徳富蘆花は実弟 ) に紹介されて海外まで広まり、
その後生まれた指圧や気圧療法などの手技に多くの影響を与えました。
しかし、敗戦後はGHQがアメリカ医療を日本に普及するために日本伝統の
民間療法 ( 療術 ) を禁止したので一般に知られることなく秘技として細々と
命脈を保ってきました。
初日の「火口乃泉 」 から戻ると早速、祥子さんがこの血液循環療法
を行ってくれた。
本当に優しいタッチなので、最初は心もとない感じがするほどだが、
毛細血管を押圧して循環を促すため決して力を入れてはいけないのだという。
祥子さんの講習終了後に私のベル麻痺発症だったから、施術をしてもらえた。
これが反対だったら、今回受けられなかったのだから、不思議な縁を感じる。
寝る前にも、朝起きてからも田安さんと私に、施術してくれるのだ。
湯布院で一人暮らしの田安さんの病気予防の意味でも、自分で
出来るようにと、ポイントも二人分コピーしてきてくれて、
「 絶対に力を入れ過ぎないないように 」
しっかり体感で覚えるように指導してくれた。
たった二日間だけだったが今回の湯布院旅行は、私にとって
得がたい体験となった。
家の中でも眩しくて目が痛くてサングラスを外せず、閉じない左目が
沁みて間断なく出る涙を拭き続け、麻痺が酷く、奇妙に歪んだ笑顔
しか出来ない私に、3人共普通に接してくれて本当に有難かった。
「崖の上のポニョ 」 がそのまま老けたような、愛らしい田安さんの
笑顔にも癒された。
全然いう事を聞いてくれなかった天天と、又散歩したいなあと
思いつつ、二日目の午後、緑にむせ返る湯布院を後にした。
湯布院から帰ってから暇があれば( ずっと暇だが ) ソフトタッチで
血液循環療法を地道に続けている。
次に田安さんとお会いする時は、左右ちゃんとバランスの取れた
とびっきりの笑顔でお会いしたい。
必ず。