明けない夜はない。
 
当たり前のことだけど
その
当たり前が信じられなくなるくらいに
深く暗い闇が
続くこともある。
 
それでも
いつかは
夜は明けて
朝がやってくる。
 
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伊吹有喜の
「ミッドナイト・バス」を読んだ。
 
深夜の高速バスの運転手が
主人公。
 
その家族と
そのバスに乗り合わせた乗客の
物語。
 
 
楽しい夜はすぐに終わり
 
悲しく苦しい夜は
このまま明けないんじゃないかとさえ思う。
 
うっすらと明るくなり
夜が明けかけているのに
 
怖がって目をつぶっているために
夜明けに気づかないこともある。
 
思い切って
目を見開いて
 
夜空を見上げてみれば
すでに明けの明星が
瞬いているかもしれない。
 
遠くの景色を見渡してみれば
薄紫色になった地平を
見ることができるかもしれない。
 
そんな風にして
抱える苦悩も
いつの日かじわりじわりと
薄らいでいくものであって欲しい。
 
 
 
年齢も境遇も違う人たちが
同じ乗り物に
乗り合わせ
 
明日に向かって走っていく。
 
それぞれの想いを抱えて
夜を乗り越えていく。
 
深夜を走るバスが
朝という希望に向かって走る
特別な乗り物のように
思えた。