限られた範囲
不自由な中でも


その人らしい
個性を打ち出した
生き様は
美しい。



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今回も
池波正太郎の「真田太平記10」を読んだ。

やっと10巻。
あと2巻で終わり。


物語は
関ヶ原の戦いが終わり
十数年、

いよいよ
徳川家と豊臣家が
手切れとなり

大坂冬の陣に
突入する。


高野山のふもとの
九度山に軟禁されていた
真田幸村も

そこを脱出し
大坂城に入る。


徳川に勝つために
様々な献策をするが

ことごとく
豊臣秀頼の母、淀の君や
豊臣家の重臣、大野治長に
反対される。


そんな
不自由な中でも

大坂城の南面に
小さな出城、「真田丸」を築く。

一見、なんの変哲も無い
小さな出城だけど

戦闘が始まると
徳川軍に甚大な被害を
与えた。


この戦闘が行われた直後から
真田幸村と言う名前が
一躍、ビッグネームとなる。


この史実に基づいた物語は

生きることに
汲々とした男の物語ではない。

生きるとか
死ぬとか

得なのか
損なのか

そんなことを超越して

思うさま
自分の「生きる」を
全うしようとした人の
物語である。



この
真田太平記の重厚な面白さは

史実に基づいた
表の世界と

史実には残されていない
裏の世界

隠密
諜報の世界を
同時に描いていることだと
思う。



表の世界が静かな時でも
裏では諜報合戦が
激しく繰り広げられていることがある。


この
裏の世界の住人である
隠密
忍者
草の者などと呼ばれる人たちとも
濃密に関わりあったのが
真田家の人たちである。



表の世界、
誰の目にも意識される世界に
生きながら

裏の世界、
余人には意識されにくい世界とも
繋がっている。



このことは


自分の意思で
統制できる
こころの「意識」と言われる領域は
ものすごく
大事だけど


統制できない
「無意識」の世界にも
心が
開かれている人は

安定した
豊かな
生き方をすることに
似ている。


数値化したり
目に見えるものばかりを
真実と
とらえるのではなく

直感的で
衝動的で
割りに合わなくて
なんかわからんけど
みたいな
意識しにくい心の動きを
取り入れて
生きていくのも

豊かである。