生きていると
様々な過ちや
失敗をする。
 
だけど
その過ちや失敗が
やがて
思いもよらない
豊かさを
与えてくれることもある。
 
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今回は、宮本輝の
「田園発 港行き自転車  上下巻」を読んだ。
 
 
宮崎にゴルフに行くと言って
出かけた父親が
なぜか
金沢のひなびた鉄道の駅で倒れ
息を引き取った。
 
15年後、37歳になったその娘は
何かに押されるように
父親の真実に
近づいていく。
 
金沢
京都
東京を舞台にした物語。
 
金沢の漁村や田園風景を
楽しむこともできるし
 
京都の舞妓や芸妓の舞台裏を
垣間見ることもできる。
 
 
 
やがて
それぞれの地域に暮らす
それぞれの家族が
ひとりの少年を中心にして
交流を深めていく。
 
人と人とが交流を深めるとは
こういう事なんだなと
思わせられる。
 
面白おかしく、おしゃべりすることが
関係を深めるのではない。
 
むしろ
言わないことや
聞きださないことを
取捨選択することで
人との関係は深まっていく。
 
 
この小説の登場人物たちは
失敗や挫折をしながらも
 
自分が
自由で豊かになれる場所が
どこなのか
見つけ出す物語に
なっている。
 
それは自分の
意志の力だけで見つけられる
ものではない。
 
失意のなかで
故郷に帰ったとしても
そこで思わぬ出会いに恵まれ
自分の居場所を見つけることも
できるのだ。
 
なにか大いなるもののはからいで
突き動かされたり
流されたりしたところに
 
「豊かさ」が
あるのかもしれない。
 
人間の命の源
人間のエネルギーの源泉は
 
何を滋養とするのか
 
おぼろげながら
感じられる物語だった。