あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

映画「マシニスト」あなたの生きるべき世界は、どこですか?

2017-09-21 22:11:04 | 映画
ずっと気になっておりました2004年ブラッド・アンダーソン監督の「マシニスト」を昨夜と今日、二度観ました。










ストーリー


極度の不眠症で1年も眠れず、病的に痩せ衰えた機械工のトレヴァー(クリスチャン・ベイル)。
自宅で不気味な貼り紙を見つけ、新しい同僚に出会って以来、彼の周囲で奇妙な出来事が頻発する。
誰かが自分を陥れようとしていると感じたトレヴァーは、疑心暗鬼になっていく。





この、「疑心暗鬼になっていく」っていうところが一昨日の晩に観た「メメント」のあらすじと同じですやんけ、となりますね。
実際、この映画は「メメント」とよく似たお話だなと感じました。

「メメント」のレナードは騙されている?と不安げになりながらもそれでも自信満々な様子で先へ先へと進もうとするのですが、この「マシニスト(機械工、機械技師の意)」のトレヴァーはとにかくどんどん精神が不安定になってゆくんですね。
そこが違いました、そしてこの映画にはわたしの好きな「サイレントヒル2」という日本のゲームのストーリー要素も入ってるんですよね。

また照明効果でしょうか、青緑に寄った暗い照明とどこか神経質なまでの整頓されたような世界、現実離れした3Dのような世界がとても綺麗で、それでいて重厚感があると言うんですかね、わたし好みの撮り方で、そして「メメント」には惜しくも撮りきれていなかった”切なさや悲しみ”がこの映画にはちゃんと入っていたので、わたしはこの映画はすごく良かったですね。

なんと言いましても主人公トレヴァー役を演じたクリスチャン・ベイルという俳優、わたしはたぶん初めて観たと想うんですが、痩せた彼の演技がすごく良かった。
太ってたら駄目なんかいと言われそうですが、まさしく、この人も太ったら魅力を失ってしまう人だと想いますね。
まあ太っている映画をちゃんと観ていないんでなんとも言えませんが、「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒーと同様に、痩せた彼は本当に美しいと感じました。

でもクリスチャン・ベイルが病的に痩せた、とか、歩く骸骨、とか、アウシュビッツ収容所のユダヤ人並に痩せ細った、とか言われていますが、確かに凄く痩せてはいますよ、でも自分の亡き父は普通に体質でこれくらいは痩せていましたよ。
死ぬまでは病気なんて全くしない健康的な人でした。
ちょっと大袈裟なのではないかと想います。これぐらい痩せている人はざらにいますよ。

BMI(体格指数)数値だって彼の183cm54.9kgのBMIとわたしの162cm37kgのBMIを計ってみますと、彼が16.39でわたしが14.1とわたしのほうがずっと少ないんですよね。
まぁ骨格によって痩せている見た目は大きく変わるはずですが、彼が歩く骸骨とか言われたらわたしはなんでしょうか、歩く糸、とか言われるのでしょうか(笑)
歩く絹糸のあまねです。どこでも通り抜けられます。ってこれから紹介しないといけないのかな。

まぁ冗談はこれくらいにしてレビューのほうに行きます。

この映画は観終わって、想い返して、嗚呼ー・・・・・・って感慨に耽るような映画なんですよね。
「メメント」も「サイレントヒル2」もそういったストーリーで、最後まで謎が続くわけです。

この映画にも”記憶”というものが大きく関わっています。
この映画は、観ていていったい何が現実で、何がそうではないのかがわからなくなるのです。
トレヴァーは”歩く骸骨”ではなくって、”歩く夢遊病者”のごとくに生きているんですね。

例えば、眠っている間に見る夢の世界と、この現実の世界が地続きな感じに続いていたらどう感じると想われますか?
夢の世界ではどこかへ行って、そして家に帰って来てコーヒーなんて淹れているとしますよね、そしてそこで本当は夢は醒めているのですが、ふと気づくと自分の家のなかで夢の続きのようにしてコーヒーを淹れている自分がいたなら、さっきまでの世界は特に夢の世界だったとは気づかないんじゃないでしょうか?

このトレヴァーという男がまさにそういう世界を生きているんですよね。
普通ではない世界を彼は普通に生きています。

当然、周りは彼のことがわからなくなりますよね。
現実では気違い扱いされて終ってしまいます。
でもそういう人って、たくさんいると想うんですよ。
なんでそうなってしまうのか、っていうのはこの映画を観ればすこしはわかるんじゃないでしょうか。

彼はとてつもないストレスに日夜さいなまれ続けているわけですね。
それが耐えられない限界値に来て、こうなってしまったであろうことは容易に想像できます。

















これはトレヴァーが空港のカフェで知り合った女性の子供と一緒に遊園地のなかの恐怖の館みたいなアトラクションの中に入っている写真です。
トレヴァーは何故か、ことごとく”左側”に行ってしまうのです。
7枚目の写真、右側は”天国”で左側は”地獄”となっています。

聖書にはよく「神の右の御手」と出てきますが、どうやら右は”神の義”で、左はそうではないという方向として示されているようです。
わたしは単純に”右”は”光をつかさどり、”左”は”闇”をつかさどる象徴として示されているのではないかと想っています。
闇なくして光を感じることができないので、双方は同等の価値にあるということですね。

トレヴァーはことごとく”闇”の方向へ行ってしまう人間であったと。
それは言い換えれば”苦”の道、苦難の道と言えましょう。

なんでか?
なにゆえに、彼はどこまでも苦の道を行かねばならんかったのであるか。
人が自分の苦難に直面するとき、ほぼ誰もが感じることではないでしょうか。
なぜ、わたしが、これほどの苦痛を経験せねばならないのか、と。

人は耐えられないなら、逃げなくてはなりません。
脱出、そこから抜け出さないでは、最早生きてはゆけないからです。

トレヴァーはどんな風に?それはこの映画を観てのお楽しみです。
観終わってから、すこし経って、切なさが込み上げて来るような映画でした。









余談



娼婦スティーヴィー役のジェニファー・ジェイソン・リー、いやぁ、観ているときは気づけなかったんですが、自棄に可愛いらしい仕草の人だなぁ・・・と想っていたらば、わたしのベスト3に入れたいほどの映画「イグジステンズ」(イグジステンズについてはちょっとここのわたしのブログで書いてますので良かったら観てみてくださいね)に出てた女優ではあーりませんかっ。
いやぁ・・・すっごく可愛いですねこの人は何の役やっても、自分はヘテロですがかなり、タイプです(笑)
色気があるのにこの可愛さ、あどけなさはなんだっという感じですね。40歳のときか~。
ちなみにクリスチャン・ベイルは当時30歳とか・・・吃驚ですね。40歳は過ぎていると感じましたよ。
トレヴァーととってもお似合いのカップルだと感じました。

別次元では結婚していて欲しいな!という気持ちです。

そう、別次元では、きっと・・・みんな笑顔で会えるでしょう。














最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画中毒な僕 (おかゆうじ)
2017-10-02 10:43:10
マシニストのクリスチャンベールは僕の好きな俳優の一人です
この映画に出るにあたって、過酷な減量を試みたことでも有名です
僕も数年睡眠障害を煩っていましたが、1秒たりとも寝ない時間が1週間を越えたあたりから、精神的な部分で、”日常生活”にはない”日常生活”が覚醒します ぼくは結局11日間一秒も寝ずに、挙句睡眠導入剤を66錠のんで病院に運ばれましたが まともに、まじめに生きているとなぜこうも、”自分”ってものが崩壊してしまうのでしょうか?それはわかりません
ぼくは”メメント”も大好きです そのころからはやったリバースムービー(2回見なければ内容が理解できない)のさきがけで、原点にして、今のところ頂点だと思います ガイピアーズ(記憶障害の主人公)の最後のセリフ”・・・・・・なんだっけ?”作品としてもよくできていた 隠れた名作 周りの人も哀れな目で、見るもの、彼を馬鹿にしている人間 でも彼は、ただひとつの記憶を求めて、体に情報を刻んでいく、もう解決している事件を何度も何度も追い続ける 
Unknown (あまね)
2017-10-03 10:06:49
ゆうじさんはほんとに映画が好きなんですね。
わたしはまだまだ全然観れていません。

ゆうじさんはマシニストのトレヴァーじゃないですか。
いや、トレヴァーですら病院には運ばれていませんよ。

まじめな人間っていうのは、自分以外の人間にもどうしてもまじめさを要求してしまうのです。
だからなんで俺はこれだけまじめやのに、なんでおまえらはそんないい加減なの?となって、耐え難い世界になってゆくんですよね。

まぁ自分も振り返ればいい加減な部分は山ほどあるのですが、”まじめ”っていうのは、感性が”繊細”であるということですから、感性が鋭いほど、そらこんな世界では崩壊して行きますよ。
苦しくて溜まらない世界ですからね。
どこにでも地獄が転がっている世界です。

例えばたった一度の失恋で自殺する人が大勢いるわけじゃないですか。
人間はどこかで鈍くならないと生きていけないのだと感じますね。

メメントの最後の台詞はすごく良かったですよね。

「自分の外に世界はあるはずだ」って言葉があるんですよね。

これも自分の記憶というものの外に本当の自分がいるはずだっていう意味に想えるんですよね。

ゆうじさんももう一つの日常生活を実際に生きてみて、そんな気持ちになったんじゃないですか?
当たり前だった日常が崩壊して、でもそこに当たり前のように日常が存在しているわけですよね。
わたしもそんな世界をずっと、父が死んでから生きています。
それまで生きていた世界とは確実に違う世界に自分がいることがわかるんですよ。
季節が過ぎていっても、まったく時間を感じられないんです。
張りぼてみたいな世界ですよ、ここは。
だから亡者のように生きているので地獄と言ってもいいかもしれませんが、同時にこの現実感覚の無い世界に救いを感じている自分がいるのも確かです。

メメントのレナードもマシニストのトレヴァーも、普通とは違う隔離された世界で生きていますが、でも必死に生きていますよね。

わたしのような人間も哀れむ人は多いかもしれませんが、世界はだんだんと美しく見えてきてるんですよね。
連コメは困るかな? (おか ゆうじ)
2017-10-06 16:11:17
あの時(静岡に済んでいたんですが)、14種類の薬を飲みながら大学に通っていまして、それがいやになって勝手に”レスリン”という薬を止めてから、睡眠障害(不眠じゃなく無眠状態になりました)11日にまったくねむらず、頭の中が”ねなきゃ”って言葉に満たされてきて、あの時(横浜)兄にメールしていたのを覚えています 
なんて送ったかは覚えていませんが、先に警察が来て、記憶が飛び飛び、で次に意識を戻したのが兄の車で、また意識をくしなって、兄の家にいて、眠れない眠れないと夜中にまた、ODして倒れて、ここから記憶もないんだけど、病院で胃洗浄されたらしく、その後も、兄の家で意識が朦朧としたまま脱糞したこともあった、変なもんですね、今の僕が、家族にメールを送っても、兄も妹も返事はくれません もうすぐ母の心臓手術があるから、それに、何かしてあげたいなと考えているところです
”あまね”さんとよべばいいのかな
”ハンニバル”(映画じゃなくてドラマです)のファーストシーズン 精神科医と、天才捜査官の会話にもあるのですが
俺だけやって、あいつらはやってないのに
っていういらいらする気持ちは
この言葉で解決できます
”心の鏡に映るのは、最低の相手ではなく理想の自分”だ
その気持ちは、”相手ができない”からのいらいらではなくて、”自分はちゃんとできている”ということなんだから、相手を許し、自分ってちゃんとうできているんだなって考えるようにぼくはしています

連コメOKですぜ。 (あまね)
2017-10-06 21:53:48
話してくれてありがとう。
家族って、本当にやばいときだけ来てくれる存在であっていいんじゃないかとわたしは想うのですが、自分も兄とは音信不通の関係になってしまって、つらいですが仕方ないように感じています。

本当にやばいときでも来てくれない家族を持つ人も世の中にはたくさんいるでしょう。
ゆうじさんの場合は御家族に対しての非難的な想いが強くありますよね。
それは言わずとも相手に伝わっていると想います。
だから可笑しな話、相手に対して、負い目を強く持つほど、逆になんもできないっていうことがあると想うんですよ。
申し訳ない気持ちが強いほど、相手に優しくできなくなるものです。
逆に余計に苦しめたりしてしまうのが人間なんです。

わたしにもゆうじさんにも、「できていないこと」ってたくさんありますよね。
自分は出来ているって考えることは、同時に相手は出来ていないって考えることになりませんかね?

それならわたしは、自分は何にもできていないんだと考えるほうが、自分にとっても、相手にとっても、救われることがあるんじゃないかと想うのですが、どうでしょう。