君の名は。(45) 関西遠征 -- 2017/08/18(金) | ずるずると道・郷・話を愛でる

ずるずると道・郷・話を愛でる

房総半島から栃木県北部を中心として、
街と街を結ぶ県道・国道・峠道を巡回しながら、
持続可能で成長する日本の未来の為に成すべき事を考えます。
日々の個人的な興味について書くこともあります。

道なき道を走って駆け上がるのは相当スタミナと体力がいるぞ!

 

君の名は。

 

タイトルにの後ろに下付きの〇が付いた方のこの映画は、昨年8月26日の公開以来、国内興行収入250億を突破し、パッケージソフトの売りゆきも配信時代にしては上々な生成を収めているという人気映画である。

 

映画『君の名は。』最終興行収入判明か!?歴代興収ランキング○位にランクイン!

1 千と千尋の神隠し 東宝 308.0 2001/07/20
2 タイタニック FOX 262.0 1997/12/20
3 アナと雪の女王 ディズニー 255.0 2014/03/14

4 君の名は。 東宝 250.3 2016/08/26

5 ハリー・ポッターと賢者の石 ワーナー 203.0 2001/12/01

しばらくは249億円といわれていたので、最終的に250億円台に乗せられて少し落ち着いた気持ちで見られる。

 

ここまでの人気ゆえに、いわゆるアニメに親しいがこの映画を見れないというたぐいの人々もいる。それは、孤高を気取る、高2病な、俺は世間とは違うんだぜ、という言葉を生きる指標にしている方々であり、その性格ゆえに、映画を直視することができず、その内面的な魅力に触れることがないのはこの映画に関しては少々残念だと、おせっかいにも思ってしまう。意固地になっている人に対しても、一度見てからそれを考えてほしいし、見るのならば映画館がよいあろう、と思ってしまうほどに色々な考えのねたになった映画でもあるのだ。

 

■フィナーレを飾る映画館

 

そんな映画の上映も残り少なくなった。もちろん、普通の映画であれば、「あれやってたの?」と思ってしまうぐらい記憶の彼方にあるものであるのでそれだけでも貴重なのであるが。それでここまで続いてきたことを思うと、終わりが見えるというのはひときわ寂しいものである。

上映を標榜する映画館は、全国で3つとなってしまった(8/18当時)。

  • 柏のキネマ旬報シアター(7月22日から8月25日まで)
  • 下高井戸の映画館(8月12日から8月25日まで)
  • 盆の一瞬間限定で特別音響上映する塚口サンサン劇場(8月12日から8月18日まで)

今回の鑑賞は、一番下に書かれた兵庫県尼崎市の阪急塚口駅前にある、少し古いショッピング街「さんさんタウン」の3つある建屋の内、1番館と呼ばれる建物にあるさんさん劇場に於いてであった。この映画館では、昨年から続けてきた、というよりは、一旦上映が終わって、一時的に復活させるという形の、いわゆる「セカンドラン」上映の一種として、一週間限定で上映するものである。

 

■サンサン劇場とさんさんタウン

 

最近はいろいろ言い訳を付けて尼崎の実家に帰省をしていなかった関西であるが、ついにそんな面倒くさがりもこの映画の結びの力に屈する形で帰省を決意させたのである。その大きなきっかけとして使ったのが、今回のサンサン劇場における君の名は。の特別音響上映であった。

 

 

さんさんタウンのロゴマーク

この奇妙な名前、サンサン劇場を要するさんさんタウンとは一体何なのか。それを振り返ってみよう。

 

図説 尼崎の歴史-現代編 - 尼崎市立地域研究史料館

・・・尼崎の都市再開発について書かれており、例として阪急塚口南口の再開発(さんさんタウン)がとりあげられていた。


さんさんタウンとは

・・・こちらには自らのHPの解説記事として再開発の計画について書かれている。

 

さんさんタウンを資料的に調べたことがなかったので、コレを見るとかえって新鮮である。

できた頃に、東京の池袋に完成した60階建てのビル、サンシャイン60にあやかって、さんさんタウン三番館(店舗テナントや中核のダイエー塚口店が入る建屋)が6階建てだったこともあり、更に太陽さんさんにかけて、サンシャイン6と読んでいたことを思い出す。この記載はどこにもないので流石にやめたか。

 

さんさん劇場そのものは、さんさんタウンができた昭和53年に、もともと塚口にあった塚口劇場(昭和28・1953~)が、リニューアルして、オープンしたもののようである。再開発前の塚口は、生活圏ではなかったため(電車で何処かに行くときは、阪急塚口ではなく、近所にバス停のあった阪急バスで阪急園田に出ていたのである)、全く覚えていないが上記の資料は中々貴重なものであった。そもそも、さんさんタウン以前に塚口に映画館があったことすらよく知らなかった。

 

映画館の方は、狭いながらも今回のような特別な上映の仕方をしたり、単館系の映画を上映したりと、いわゆる商圏にかかわらずある種のマニアを引きつける上映をすることでその人気を集めているらしい。小学生の時代からここの映画館の存在は知っていたが、実はろくに入ったことの記憶がない。入っていたかもしれないが、寧ろ、阪急伊丹に近いところにあった映画館の方が印象が強く、住んでいる市内にあるこの映画館の方をよく知らなかったのだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

伊丹周辺の映画館について検索してみた。

 

イオンモール伊丹 - Wikipedia

この記事に、かつて伊丹にあった映画館についての記載があった。

 

TOHOシネマズ伊丹(とうほうシネマズいたみ)は、イオンモール伊丹の4階に出店しているシネマコンプレックス。2007年9月24日までは「伊丹TOHOプレックス」という名称であった。

かつて市内には、阪急伊丹駅近くに『伊丹ローズ・グリーン劇場』と称する小規模な映画館[30]があったが、当館の開業を前に閉鎖されており、結果として当館が伊丹市内で唯一の映画館となっている。

 

ついでに思い出したが、コレとは別に、成人映画をやっている映画館が、長崎屋の建物の上の方にあったような気がする。記憶に間違いがなければ、成人映画とドラえもんがとなりのスクリーンでやっていた?ような気がするのだ。長崎屋の駐輪場には、成人映画のアラレもないポスターが有り、それを満たさに止めに行っていたという噂もある。Webで調べてみても、断片的な情報しかなく、一度情報を集めて当時の阪急伊丹周辺の町並みを再現したいものだ・・。

 

調べてみれば、そもそも阪急伊丹周辺には映画館が4つもあったらしいが、いまは全て消えてしまい、伊丹に残っているのは、JR伊丹駅周辺にあるイオンモール伊丹内のシネコンであるTOHOシネマズ伊丹、だけとなっている。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

話は大きくずれてしまったが、阪急塚口にあるさんさんタウンに話を戻せば、図説の方の資料の地図にもある、西武百貨店が拡張方針を取っていたころ、国鉄猪名寺駅というそんなに栄えても居ない各停しか止まらない福知山線の駅近くに「つかしん」が後から開発された(こちらの方が実家から近い)。そんなとき、さんさんタウンの中核をなしていたダイエーが、ボロい家の土地を買い取って、汚いまま放置するという嫌がらせをしていたとかしなかったとか。暫くそのボロ屋はあったが、知らない間になくなっていた。いま、つかしんは、西武百貨店が撤退したあと、中核テンポがないモール街になっている。しかし、建屋の作り方に余裕があったためか、内装を改装して今風のショッピング街になっており、周辺の一部人工的な自然環境もあいまって、集客力を誇っているようである。

 

ここに比べると、久々に訪れたさんさんタウンは、いかにも昭和50年代風で店舗エリアが狭い感じがし、にっちもさっちもいかない感じがした。その結果を受けてのことかもしれないが、さんさんタウン3番館は、店舗規模を縮小して、住宅エリアに店舗が少々つく、というような形に建て替えられるらしい。

 

尼崎「塚口さんさんタウン」 商業ビル、住宅向けに再生 :日本経済新聞

 

小学校から大学時代にかけて、よくお世話になったさんさんタウンも第2の再開発で、近所の工場群がどんどんマンション化していくのと同じように、新たな住居スペースになっていくのである。そんなに住むところを増やしてどうするの?と思ってしまう。昨今の移民政策と合わせて考えると裏恐ろしい感じがしてしまうのは気のせいだろうか。

 

■サンサン劇場上映をネタに帰省(これもまた結び?)

 

そんな曲がり角にあるさんさんタウンの映画館、サンサン劇場は本体が壊れそうにもかかわらず、中々頑張っているようである。関東に来て17年も経つ自分のような人間が来てしまうような企画をしていることは中々侮りがたいのである。規制のきっかけを与えてくれて感謝、という感じである。

ついでに、実家で飼っている猫をいかになで回せるかということも、帰省の成功(?)にということにかかっていたことを申し添えておく。

 

以前から、帰省のことはかなり気にかかっていたのではあるが、現在の生活スタイルの問題からまとまった時間をねん出して規制に使うということができずにいた。せっかくいったのだからゆっくりしたいという気持ちもあったので想定する滞在時間は伸びる一歩だったのである。

 

今回の塚口サンサン劇場の粋な計らい、君の名は。特別音響上映、さらに、前作言の葉の庭も連続で上特別音響映するスケジュールであった。君の名は。の継続的干渉をせずにおれない結びに絡み取られた自分にとっては、その前週の川崎チネチッタでもLIVE ZOUND(極上音響上映)のあとの、特に音の方面の鑑賞欲望が再び芽生えてくるのにそんなに時間がかからなかった。その前に,帰省に対する諸条件などはそんなに重要なものにおもえなくなっていたのである。ただ特別音響の上映を楽しめればよい。実家への滞在については、できる範囲でやれれば良いのではないかというぐらいにでき、とにかく予定は未定で出発できさえすれば何とかなるだろう、という感じで出ることができたのである。

 

もちろん、世の中は、早割などをはじめとする予定を早めに確定する割引や、交通機関を選ぶことで安くあげることもあるが、今の最大の障害はそこにあるのではなく、実行できるかどうかのほうにあったのである。しかも上映は18日までで終了してしまうという期限付きであったのだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■通勤2時間15分、帰省4時間

 

通勤に2時間越えの自分にとっては、規制に要する時間も新幹線東京新大阪2時間半という移動を込みで考えても大して長くない時間ではないか、と思っていた。実際にかかった時間は乗り換え時間などを含めて4時間越えであった。しかし、東海道新幹線の運行密度は、ラッシュアワー並みの本数であることに改めて驚かされる。このような移動密度を誇る交通インフラが都市間の発展を促すと素直の思ってしまった。儲かる儲からない以上に利用できる状態にしておくことが、インフラとしては大事な姿勢であり、需要はその存在の上に乗っかってついてくるのである。さすがに、通勤することができるほどの時間には収まっていないが、日帰りビジネス程度のことは十分に可能だと、遅まきながら机上でなくようやく体感した。リニア新幹線の高速性に期待するのは、この流れだと当然なことだろう。ただ、名古屋どまりで20年近くも放置するのはやはりいただけない。その間に人の流れの形が出来上がってしまうからだ。早急に新大阪までの延長の事業化を国主導で、建設国債ベースで行うべきだろう。JR東海の願望のみで実現させるほどプライベートな話ではない。直接の経由駅とならない京都に対しても十分なフォローを行うべきであろう。

 

■久々の関西圏

 

(桂ざこばのように言うが)というわけでぇ~~、朝の通勤の時間と同じような時間に自宅を出て、東京駅からはいつもは乗らない新幹線に乗車することになったのだ。新幹線を正規の料金で買うと14000円強の片道の料金、運賃が必要となってくる。もちろん、EXカードなどを使えば数千円の割引を受けたりできるのであるが、それは2回目以降に考えればいいのである。実は実家への帰省でまともに新幹線を利用したのは初めてのことであった。

 

いまさらという感じではあるがこれまでは、いかに安くあげるかとか、鉄道の旅を満喫したいとか、そういうことで新幹線を避けていたのである。新幹線とは、昔あったような車内の施設がことごとく省略され、最低限の車内販売のみが残された状態である。それ故に、最も魅力のない鉄道の旅としており避けてきた原因である。最近は、航空機という選択肢もあるが、あれば、格安バス的な感覚である。正規の値段は驚くほど高いが早割などで新幹線より安くなりうる。それでも、空港の立地と手続きの煩雑さから、さっとその場で乗れる新幹線にはかなうわけもなく、がちがち憎んだ計画ぐらいしか活躍しないだろう。

そういう検討は2回目以降である。ただ、事故が起こりそうな要素が増えているそのような交通機関は避けた方がいいのはむしろ今後大きくなってくると思われる。

 

在来線側から見える新大阪駅のロゴが昭和39年当時の最先端で一周回って新しい?!

 

新大阪駅は、違和感を感じる入口であった。

たしかに小綺麗な空間で人も多くそれでいて安心感があるのは日本ならではではあるが、細かい話をすれば、在来線のホームに降りるエスカレータでの立ち止まる人がとどまる方向が左側なのか右側なのかが全く逆だったということである。細かいことではあるが、無意識に行うことなので意外にはっとさせられるのである。

 

在来線は、車両から国鉄色が一掃されてしまった状態で、ステンレス色むき出し貴重な電車が走り回っていた。(特急は除く)。種別表示の前にAとかGとかがついている。どこの線に向かうかを示すアルファベットが付いていたのだ。

 

 

独自で作り上げるやり方には、関西のJRの底力はあるだろうが、くれぐれも人間系の無理だけはやりすぎないようにしてほしいところではある。G方向・・福知山線の入口である、尼崎-塚口間の、名神高速道路のすぐ南当たりの急カーブのマンションに普通電車が突っ込むというあの事故である。システム系の不備を人間系がカバーするというやり方ではあったが、失敗に対する懲罰が大きすぎて、安全を軽視する運行が常態化していたがゆえの事故でもあったのである。起こったかどうかどうかは組み合わせの運の問題もあったであろうが、起こってしまう可能性が高くなっている状況に追い込まれていたのは確かだろう。人間系については、それをフォローするシステム系の整備を含めて、やってくれているとは思うが、どうなんだろうか。

 

それでも、賃金の面などでも、かなり下降の圧力も強いところもあるだろうし、システムを構成する部品の発注先を国内に限定しなくなっていく流れもあるだろう。いずれにしても、できることを国外に垂れ流すことにつながっていくことを考えると、国益に即しているは言えない・・・。そんな流れはおそらく民営化してしまった鉄道会社を規制がないとそちらに走っていくのであろう。

 

と言っている間に、JR大阪駅に到着。そこからは、阪急梅田へ向かい、阪急神戸線に乗る。

以前は互換性のなかったSuicaも阪急の改札を通ることが出きるようになっていた。

ICカードについては進化しているが、電車についてはどうだろう。独自の仕様がだいぶなくなってしまっているような気がする。グループ会社に車両会社を持っていたころに作られた車両とそうでなくなってからの車両を見ると結構わかってしまう。たしかに、内装の木目のイメージや椅子に使われている素材は伝統を受け継いでいると思われるが、ベースとなっている車両が、規格化されたものに見える。組み込まれている車内案内であったり、窓の形や、日差しをガードするものが、上からのロールになっていた。かつては、下から引き上げる金属製の板だったのであるが、規格外のそんな仕様は採用されなくなるのだろう。安上りではあるが、多様性は失われる。

 

少しずる変化はしている。それが進歩主義のように新しいものはいつで門前だということでもろ手を挙げて喜んでしまうのはあまりにも視野が狭いものである。やれることやれないことのバランスを考えれば単純にヨロ小出もいられない。物事が「理想」に突き進みすぎることて買って、多様性も豊かさも失われてしあうというのは、昨今のPC(ポリティカルコレクトネス)や経済政策の失策(財政支出を絞ったらよいと思い込んで必要な公共事業すらできなくなっている状況)を思えばなおのことである。

 

おそらく、そのまま関西に住んでいたら気が付かなかったことだろうが、たまに訪れるところだと思うとその差異が目に見えてわかるものだ。。と思っていたのだが。

 

サンサンタウンの変わらなさぶりには驚嘆さえ覚えた。

 

もちろん、入っているテナントの変化はある。しかし阪急塚口南側の全体の持つ雰囲気はそのままだった。しかしその変化のなさは、その町が大きな部分が死に絶えようとしていることにリンクしているようにも思えた。それが上記のサンサンタウン3番館の建て替えである。すでにダイエー以外のテナントについてはだいぶ活気がなくなっているというよりは、すでに閉店、移転しているものが多かったのである。

思い出のサンサンタウンは、ほぼそのままの形でシャッター街と化していた。、

 

最初、映画館がどこにあったかわからず、本当にサンサンタウンをぐるりと回ることとなってしまった。

あったのは一番館。東寄りの建屋の1階である。

今どきのシネコンのようなロビーもないせまっ苦しさが時代を感じさせる、

 

■この映画は音だ!

 

映画館で見る意義はなんだろう。

既にブルーレイも手に入れた今となっては、家のテレビで見るそれとの差別化を気にするようになった。

それは、大画面であり、環境である。

映画館は、暗い部屋に人を押し込んで、一定時間の間拘束して映画を見ることに集中させる。

それだけでも、見る意義はあるのであるが、やはり、それでも、それだけでは物足らないのである。

 

ブルーレイを見たときに思ったのは、映像はきれいなのに、なにか物足らないぞ?という感覚だった。

それは、考えるまでもない音響の問題であった。

セリフははっきり聞こえるのであるが、環境音全般が何やら小さい感じがする。

また、うるさいを思っていたときもあった劇中のRADWIMPSの音楽も心なしか迫力にかけるのである。うるさいと文句も言いたくなるが、小さすぎるとちょっと、というよりは、かなり物足らない感じがしてしまう。

家での音響は、音の出し方を調整することで多少はマシにはなるが、やはり、もっとインパクトの有る音を体験してしまった今では、やはり、音、重低音の圧迫、そんなものが得られる環境jは映画館しか無いのである。しかも、前の週に見た川崎チネチッタのLIVE ZOUNDを体験したあとでは、音響を前に押し出す上映を期待してしまうのである。

 

今回ここを訪れたのもそれを期待してのことであった。

結果としては、まあまあ満足の行くところといえるだろうか。

正直言うとLIVE ZOUNDの2割減少というぐらいのイメージではあったがその迫力は感じられた。

 

やはり、ブルーレイが逢ってもたまには見たい、音響〔君の名は。」であった。

 

君の名は。(46)--2017/08/23(水) へ続く