健康診断で、「血圧が高いですね、深呼吸をしましょう」と言われたことがある人も少なくはないでしょう。でも、なぜ高血圧だと深呼吸を勧められるのでしょうか?

 

今回は、「血圧が高い時に“深呼吸”を勧められる3つの理由」について解説したいと思います。

 

 

血圧が高い際に深呼吸をする理由その1:緊張している


医師や看護師の白衣を見るだけで“ドキドキ”する人がいます。不安や緊張が強い場合には、交感神経が有意になって心臓がバクバクと早く打つからです。脈が増加すると心臓から出る血液の量が多くなります。血圧=心臓から出る血液の量(心拍出量)×血管の硬さ(血管抵抗)ですから、心拍出量が多くなることで血圧が上昇するのです。

 

深呼吸してリラックスすることで、交感神経の働きが弱くなり、逆に副交感神経が強く働くことで脈が遅くなって血圧が低下します。リラックスした状態で血圧測定をするために深呼吸をするのです。

 

 

血圧が高い際に深呼吸をする理由その2:機械の誤作動


最近の血圧測定は機械で測ることが多くなりました。機械の誤作動という可能性もあります。深呼吸とは直接関係ありませんが、いくら最近の機械の精度が良くなったとはいえ、機械だと間違いの可能性があります。深呼吸で一息置いて、再度測定してみることも必要でしょう。

 

 

血圧が高い際に深呼吸をする理由その3:血液の移動


深呼吸を何度も行うと、肺の末梢血管まで血液が行き渡ることで、血圧を測定している腕の血液が減少することがあります。測定している腕の部分の血流が減ることで、一時的に血圧が低下します。ただし、これは一時的なもので、本来の血圧ではありません。

 

 

診察室での血圧は正常なのに、自宅では血圧が高い「仮面高血圧」


「白衣高血圧」と逆の現象で、診察室より自宅での血圧の方が高い「仮面高血圧」という人も意外と多く存在します。仕事や自宅でのストレスが多い人、タバコと吸っている人、夜間や明け方に特徴的に高い人など、人によって血圧のパターンが異なることが知られています。血圧が高い状態が持続するまま放置すると、“脳卒中”や“心筋梗塞”の危険性が高くなるので注意が必要です。

 

 

「診察室血圧」より重視されている「家庭血圧」


2014年4月に日本高血圧学会から出された「高血圧治療ガイドライン」では、血圧のガイドラインが改定されて、家庭での血圧が重視されるようになりました。「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血による診断を優先する」と示されたのです。

 

健康診断などの血圧測定で、「深呼吸したら血圧が下がったから大丈夫」なのではなく、仮面高血圧などの血圧異常が潜在的にある可能性があることに注意をしておいた方が良いでしょう。高血圧が持続すると血管に負担がかかり、“脳卒中”や“高血圧”のリスクが高くなります。血圧異常を指摘された場合は、本来の血圧を知るために、自宅で定期的に血圧測定を行うことをお勧めします。

 


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