マレーシアのプリペイドSIM。
数年前にcelcomがリテール市場から実質的に撤退、代わってUmobileが低価格を武器に新規参入して以来、Digi、Umobile、Hotlinkが三つ巴の競争を続けてきましたが、今回のDigiの新プラン投入を機に激変しそうな模様です。

2018年2月現在の様子を整理すると、こんな感じ。


Digi

RM38で深夜0時から12までデータ通信無制限の新定額プランを投入。既存の定額プランもデータ通信容量を倍増させるなど、充実した通信基盤設備を有効活用した大容量・低価格プランでシェア拡大を図る戦略。


Umobile

定額プランのデータ容量3倍プロモを継続、音楽配信サービス JOOXのVIPパス付プランを新規投入。一方で基本プランの通話・通信単価アップ、無料通話の縮小など、低価格戦略からの脱却を図る戦略。新規参入で基盤設備が弱いため、Digiに対抗できるような大容量プランの早期投入には限界がある模様。


HOTLiNK

1日1時間の1GB無料データ通信、週末2日各1GB無料データ通信などでシェア維持を図るものの、Digiの対抗プランにより苦戦。今回、全面的にプランが刷新され、無料データ通信が廃止され、他2社に大きく見劣りする状態に。新規ユーザーの獲得は難しく、既存ユーザーへの特典は継続されるものの、他社への乗り換えを抑えられる状況ではなくシェアの一層の低下は不可避の模様。


一定のシェアを確保したUmobileが、低価格・拡大戦略から、高付加価値・適正価格の儲かる仕組みへの転換を図ってきた一方で、顧客流失とシェア低下に歯止めがかからないHOTLiNKが、ついにリテール市場からの撤退を決断。HOTLiNKは今後、自社SIMを縮小しcelcomと同様に回線卸会社へと転換して生き残りを図るのでしょう。

マレーシアのプリペイドSIM市場は、3社三つ巴から、2強時代へと移行しそうですが、ユーザーにとって良いことかどうかは微妙です。

2社による寡占状況が生まれることで、サービス価格競争が終息し、予定調和的に通信費用が上昇する可能性もあり。今年もSIM状況からは目が離せそうもありません。