雨が続き、涼しくて過ごしやすいです。
子供たちも学校がはじまり、徐々に通常運転に
戻りつつあります。
みなさんはどんな1週間を過ごされましたか?
今週、印象に残った一冊をご紹介します。
古川日出男さんの『ベルカ、吠えないのか?』です。
ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)
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キスカ島に残された四頭軍用犬。彼らを始祖として交配と
混血を繰り返し、繁殖した無数のイヌたちが国境も海峡も
宗教も越境し、戦争の世紀=20世紀を駆け抜ける。
1943〜1991年までの43年間、イヌたちがどのような状況で
交わり、死に、そして生きてきたかを、イヌに語りかけるような、
時には質問するような、スピーディーな文体で綴る。
ものすごい発想の物語で、なおかつ史実にも基づいている
ために説得力も高いです。時の流れも43年間とボリュームが
あるのですが、一文一文が短くキレがあり、頭に入りやすい
ので、混乱せずに読み進めることができます。
イヌたちは人間という主人を持ったり、持たなかったりします。
しかし、軍用犬として開発されたイヌや、オオカミと交配された
イヌたちは非常に頭が良く、自身が生き抜くため、または主人
を助けるために凄まじい能力を発揮します。
そしてイヌたちの生きてきた背景には、東西冷戦、民族紛争、
麻薬組織など激動する世界情勢があります。
軍用犬として、麻薬探知犬として、ソリを引くイヌとして、
その時代や場所ごとにに確実に優秀な仕事をこなしている
のです。
そうした素地を持ったイヌたちが、本能レベルで状況を理解、
判断し、行動し、命を落としていくのです。
優秀なイヌは最強の武器となり得る。そしてそれを実行して
いる国や機関が実際は表に出ていないだけで、あるのでは
ないか?
アメリカとロシアから始まる東西冷戦、共産圏でのソビエトと
中国の関係の変化、ベトナム戦争におけるアメリカ、ロシア、
中国介入による泥沼化…。
そうしたきっちりと史実に基づく描写が、このイヌによる
革命=ペレストロイカをより現実的に感じさせてくれるのです。
歴史の足跡はイヌと共にある。そう言っても過言ではない、
壮大なスペクタクル。これはすごい作品に出会ってしまった。
そんなことを思わせてくれる物語です。
先週立てたこの1週間の目標は
●1日1記事を更新する
●イラストに色をつける
でした。無事に達成することができました!
次の一週間も、同じように更新することを自分の目標にします。
〈今週 読了した本〉
『こころ彩る徒然草』
『ベルカ、吠えないのか?』
『ペナンブラ氏の24時間書店』
『夏の情婦』
〈現在 読書中の本>
『歴史はバーで作られる』
『残業税』
〈今週購入した本〉
『あたりまえのぜひたく。』
『歴史はバーで作られる』
『残業税』
『神さまたちの遊ぶ庭』
『夏の情婦』
『神様の裏の顔』
『さよならの手口』
『悪いうさぎ』
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