(クラロン・マクファデンの新譜 ガーシュウィン 歌曲集) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

好きなソプラノ歌手、クラロン・マクファデンの新譜が、最近ではないけれど、昨年の秋に発売された(NMLApple MusicCD)。

詳細は下記を参照されたい。

 

 

 

 

 

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、パリのアメリカ人、『サマータイム』、他
ジョス・ヴァン・インマゼール&アニマ・エテルナ、他
日本語解説付き


~歿後80周年・時代考証型ピリオド解釈~
ついに出た! 「古楽器ガーシュウィン」は企画だけで終わらぬ名演だった…
驚異の連続、見過せません!

作曲家が知っていた当時の楽器と奏法に立ち返ることで、初めて作品本来の魅力が、作曲者自身の考えていた世界が見えてくる・・・。この発想を20世紀前半の音楽にも応用、圧倒的な音楽的感性とともに次々と驚くべき成果をあげてきたインマゼールの一党が、そのレパートリーの最前線としてガーシュウィン作品を演奏してきたことは、すでに海外コンサートを目ざとくチェックされている明敏なリスナーならご存知のはず。彼らはついに「機は熟した」と、Alphaレーベルで待望の録音に踏み切ってくれました!
 曇りない目で「20世紀前半のアメリカにあった金管楽器」の真相を見極め、弦楽器にもガットだけでなく慎重に金属弦を交えつつ、当時の録音物やピアノロールも徹底的に聴き極め、彼らが辿りついた音響世界たるや・・・「およそ学術的無味乾燥とは無縁」などと言うのも無駄、ガーシュウィン財団の史料にもあたって復元されたソロ部分含む「ラプソディ~」他、圧巻の名演の連続!
 魅力の真相を解き明かす佐伯茂樹氏の日本語解説と併せ、歿後80周年の名匠を捉え直す痛快新録音!(輸入元情報)

【収録情報】
ガーシュウィン:
1. キャットフィッシュ・ロウ ~『ポーギーとベス』組曲
2. サマータイム
3. シュトラウスに倣って
4. パリのアメリカ人
5. 恋した人は(The man I love)
6. あの人は行ってしまった(My man is gone now)
7. アイ・ガット・リズム
8. ラプソディ・イン・ブルー


 クレアロン・マクファドゥン(ソプラノ)
 バルト・ファン・クラーネヘム(ピアノ/スタインウェイ1906年製)
 アニマ・エテルナ・ブリュッヘ(古楽器使用)
 ジョス・ヴァン・インマゼール(指揮)

 録音時期:2017年
 録音方式:ステレオ(デジタル)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

昨日の記事では、高音域のレッジェーロな(軽めの)声質が好みということを書いた。

好きな男声歌手を何人か挙げたが、女声歌手においても好みは同様である。

以前にも少し書いたが(そのときの記事はこちら)、好きなソプラノ歌手は、キャスリーン・バトル、バーバラ・ボニー、クラロン・マクファデン、ゲルリンデ・ゼーマンあたりである。

彼女たちは、まさに「天上の歌声」を持っていると思う。

また、もう少し前の人では、ヘレン・ドーナト。

彼女のバッハやモーツァルトは、今聴くとさすがに少し古い感じがするけれど、ロマン派のリリコの役、例えば「マイスタージンガー」のエーファ、「ラインの黄金」のヴォークリンデ、「ばらの騎士」のゾフィー、「カルメン」のミカエラあたりは、今聴いても最高峰だと思う。

 

 

彼女たちのうち、クラロン・マクファデンは、主にバロックから古典派、および現代音楽に録音が多い。

今回のガーシュウィンのような「19世紀生まれの作曲家」の曲の録音は、珍しいように思う。

「サマータイム」、これは大変有名だが、冒頭からかなりの高音域が続く、難しそうな曲。

こんな曲こそ彼女の得意とするところで、「天上の歌声」を存分に堪能できる。

と同時に、バッハやモーツァルト、あるいは現代音楽を歌うときとはまた違った、けだるいジャジーな味わいがよく出ている。

それは他の曲でも同様で、特に「アイ・ガット・リズム」ではいわゆる「スウィング」のようなものも感じられる。

クラシック音楽を専門としている音楽家にときおりみられるアカデミックな硬直が、彼女には全くない。

それでいて、いつもの彼女の稀にみる清澄な歌声も健在なのである。

 

 

なお、インマゼール指揮アニマ・エテルナもさわやかで良いし、バルト・ファン・クラーネヘムのピアノも素朴な感じでなかなか(1906年製スタインウェイということで、ちょうど映画「タイタニック」に出てきたような、ポロンポロンした感じのピアノの音色)。

すっきりとしたガーシュウィンが楽しめる、大変面白い一枚だと思う。

 

 


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