歌誌「冬雷」2017年 6月号 私の心に残った歌 その4 | 北山の歌雑記

北山の歌雑記

短歌初心者の戯言
「うたは下手でもよい自分のうたを詠め」
目指す旅路の道中記

前回に引き続き歌誌「冬雷」6月号の中で、私なりに特に心に残った 

歌を抜粋してみました。鑑賞・評などと大それたものでは無く

私なりに選ばせていただいた理由を少々、記させていただきます。  

(☆新仮名遣い希望者)

尚、冬雷集感想の一部は後日


からからの君子欄を庭に出し水施せば勢いもどる

茨城 吉 田 綾 子☆


暖房の聴いた室内。

そのお陰で水を切らしてカラカラに乾いた君子蘭。

作者は、庭に出して水遣りを行った。

水施せば勢いもどる」に、既に対処法を心得て当然のように処置

行ったように思う。

作者はその君子蘭との付き合いも、長いのであろう。


のらぼう菜やつと蕾を付ける春摘みてその日の食卓彩る

茨城 中 村 晴 美


作者が心待ちにしていたのらぼう菜。

「やつと蕾を付ける春」に、例年よりも生育が遅かったように思われる。

下句「摘みてその日の食卓彩る」は、まさに生産農家の醍醐味。

採れたての「のらぼう菜」の緑の彩りが、さっそく食卓に持ち込まれた模様だ。


入院の長かりし兄を「お帰り」と迎へて自宅に通夜を営む  

東京 増 澤 幸 子


長く入院生活を送っていた作者の兄。

そのまま病没された模様だ。  

そうやく、そこより解放されて戻った自宅。

その亡兄を「お帰り」と、作者ら遺族が迎えた  

「自宅に通夜を営む」とあるように、葬儀は元気に帰って着たかったで

あろう自宅で、しめやかに行われたようだ。


基地跡の枯れ野の果てに沈む陽の大き日の丸うからと見放く  

東京 永 田 夫 佐☆


基地の跡地の巨大な空き地。

冬の枯れ野のその空き地の向こうに陽が沈んでいったようだ。

その地平線に沈みゆく夕日を共にいた身内と共に眺めた。

見放く」からは、歓声などの声も発せずに、ただ一同じっと眺めていた

ような雰囲気が感じられる。


敷毛布なければ冷たき体にて寝返りうちていねがたくをり

千葉 野 村 灑 子


敷毛布を敷かずに布団に入った作者。

冷え切った体は思いの外、温まらずになかなか寝付けなかったようだ。

日中は暖かさがあるものの、朝晩の冷え込みが結構厳しい事もある。

早々に冬用の布団を収納してしまったであろう作者の後悔が感じられる。



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