歌誌「冬雷」2017年 6月号 私の心に残った歌 その5 | 北山の歌雑記

北山の歌雑記

短歌初心者の戯言
「うたは下手でもよい自分のうたを詠め」
目指す旅路の道中記

前回に引き続き歌誌「冬雷」6月号の中で、私なりに特に心に残った 

歌を抜粋してみました。鑑賞・評などと大それたものでは無く

私なりに選ばせていただいた理由を少々、記させていただきます。  

(☆新仮名遣い希望者)

尚、冬雷集感想の一部は後日


住む人の絶えたる隣家風強き日には気になり時々覗く

栃木 高 松 ヒ サ☆


空き家になってしまった作者の隣家。

作者は風の強い日は、ときどき覗くという。

それまで建っていた家屋が、急に倒壊するとも考えにくい。

隣家が空き家という事そのものが、不安なのであろう。

ちなみに私の実家は現在、隣三軒目まで空き家らしい。


旧の切手にプラス二円のうさぎの絵一日も早く届く気のして

東京 大 川 澄 枝☆


以前は五十円であった官製はがき。

作者の手元には、買い置きしたはがきが随分とあるようだ。

投函する前にそのはがきに二円切手を貼り足していた作者。

そのうさぎの絵は静止している図柄ではあるが、その飛び跳ねる

というイメージから連想された結句の「早く届く気のして」。

とても、かわいらしい内容と思われた。


四月八日花まつりとも気付かずに来たる寺院に参詣者多し

東京 田 中 しげ子


四月八日は釈迦の誕生を祝う仏教行事の花まつり。

他にも灌仏会等々、さまざまな呼び名があるらしい。

その日、参詣に寺院を訪れた作者。

普段より参詣者の数が多く驚いたようだ。

後で知った花まつりの日であった事。

「花まつりとも」に、この日に参詣した事への作者の後悔が察せられる。


片付かぬ机の上の片隅に一汁一菜独りの夕餉

兵庫 三 村 芙美代☆


さまざまな書類等が重なる机上。

その空いているスペースを利用しての作者の夕餉。

「机の上の片隅」や「一汁一菜」に、他人を気にせず自分のペースで

日々を過ごしている気楽さ。

そして片付かぬ机の上」への、作者の感じる後ろめたさのような感覚が

見受けられる。


二十一軒が十三軒の班になり静かな総会先細りなり

茨城 姫 野 郁 子☆


作者の所属する町内会の班。

「二十一軒が十三軒」の班に減少した模様だ。

予想される「静かな総会」。

結句「先細りなり」に、今後の町内会運営への不安が案じられる。



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