歌誌「冬雷」2017年  10月号 私の心に残った歌 その5 | 北山の歌雑記

北山の歌雑記

短歌初心者の戯言
「うたは下手でもよい自分のうたを詠め」
目指す旅路の道中記

前月に引き続き歌誌「冬雷」10月号の中で、私なりに特に心に残った 

歌を抜粋してみました。鑑賞・評などと大それたものでは無く

私なりに選ばせていただいた理由を少々記させていただきます。  

(☆新仮名遣い希望者)


高さうな靴下いつになく我にくれるは孫に拒まれたらし

埼玉 きすぎ りくお


連作から察するに妻より「高さうな靴下」を貰った作者。

いつになく」から、いぶかしげ感じた思いが感じられる。

そして「孫に拒まれたらし」という理由を知った。

この一首に作者の疑問と納得が見事に集約されていて面白い。


フランス語ともに習いし友なれど老いては我を誰ともしらず

東京 新 井 光 雄☆


学生時代に「フランス語ともに習いし友」。

その友を見舞った作者。

老いては我を誰ともしらず」からは、若き頃の才気あふれる頃を知る

作者にとって現在の友の姿に無念と愕然とする思いがあったように感じる。


夜半の湯に浸りて独り静寂の世界におれば梟が鳴く

茨城 吉 田 綾 子☆


夜半の湯に浸りて」とは、浴場の露天風呂か自宅か。

ともかく夜半にぬるめの湯に浸り、独り静寂の世界に身を置いていた。

そこに聞こえて来た梟の声。

一転、静寂から闇夜に響く梟の声に幽玄の世界を感じた作者の心情の

変化が感じられる。


若き日に七分で駆けし此の路を二十分かけて駅まで歩く

東京 永 田 夫 佐☆


若き日に仕事へ駆けた七分で駆けた駅への道のり。

その同じ道を今は二十分を要するという作者。

その具体的な三倍の長さが作者の人生の歩みも物語る気がする。


這い寄りて眺めたるのち指に触れ口に確かめ脳に刻むか

栃木 高 松 美智子☆


作者の孫であろうか。

(違っていたらスミマセン。)

その動きをじっと観察していたのであろう。

結句「脳に刻むか」に日々物事を覚え、成長してゆく幼児をあたたかく

見守る作者の様子が窺える。



にほんブログ村                


 

俳句・短歌 ブログランキングへ