2018年6月17日、僕は石川県加賀市を出発した。
さあ、いよいよ海外入りだ。
石川県加賀市の山代温泉からは大阪の岸和田まで3500円のバスが出ている。
関西空港に行く場合は、これを利用するのが安いし早くておすすめだ。
しかもバスは貸切!!!
乗る人は僕しかいなかったので、出発の1分前まで談笑。
見送りに来ていただいた加賀のみなさん本当にありがとうございました。
また、面白い人間になって帰って来ます!
大阪の岸和田でたこ焼きを食べながら考えた。
今の自分は場づくりをして来たが、職業と言えるものはない。
職業視点が身についていない僕にできることは何か。
それは、自分が激しく感情を揺さぶられたものに対して的を絞る。
そして、その対象物に対して、骨に染み渡るくらい体感をする。
噛んで噛んで噛みしめる。
お金をこれだと思ったものに対して徹底的に投下する。
それがどんな山奥にあるところだったとしても、必ずたどり着く。
他のものに対して、お金は徹底的に節約する。
僕の旅は、いわば「ゲリラ」のようなものである。
持っているお金は少ない。
それをどこに対して使うかは、自分次第。
自分が好きでたまらないものに対してのみ、徹底的に使うことにした。
関西空港についた。
空港で一晩をこしてチェックイン。
関西空港から台湾へのLCC(ジェットスター)利用の注意点は2つある。
1つめが、帰りの便を予約すること。
ぼくの場合は、台湾の後に中国に行くので、7月23日の飛行機をチェックインの直前で予約した。
2つめは手荷物の7キロ制限。
7キロを超過すると、15キロまでは5000円払わなくてはならない。
そのことをすっかり忘れていたので、夏なのに徹底的に着がさねする。
汗びっしょりで、やばい(笑)
あとは、ポケットに突っ込めるものは突っ込む。
6.7キロまで重量を落とせてセーフ!
チェックインを終え、搭乗ゲートに駆け込む。
飛行機の出発の1分前になんと地震が!!!
震度5以上らしく、飛行機がめっちゃ揺れた。
しかし、地震をものともせず、定刻通り離陸。
次の便だったら、絶対定刻通り出発できてなかったし、出発日さえももしかしたら変わっていたかもしれない。
日本の皆さんは、大丈夫か、、と思いながらあっという間に台北桃園空港に到着。
3時間の短いフライトだった。
6/18は空港でひたすら情報収集。
結果、中国はビザなし滞在が、15日しか許可されていないこと。
そして、行きたいメインのところが福建省と雲南省と離れていることから、台湾をハブにして2回に分けて中国に入国することにした。
そして、後々の旅程的に、今しかないええい!と思って6/20から6/23まで福建省の福建土楼に的を絞って、一時滞在することを決定!
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6/19(昨日)は、台北郊外にどうしても行きたいカフェがあるので、行くことにした。
それは、台北の動物園の1つ手前の捷運木柵站(Muzha Station)が最寄り駅だった。
台湾の街に一歩出ると、そこは異世界だ。
モワッとした空気が自分を包み、水の中に首を突っ込んだような息苦しさを感じる。
しかし、これは最初の1日だけだ。
自分の体は台湾という街に解き放たれ、何か柔らかいものに包み込まれるように次第に街に飲み込まれて行く。
汗は絶え間なく流れる。
拭っても拭っても、出てくる。
しかし、室内は極度に涼しく、自然を拒むように人間の世界ができている。
僕にとって台湾は、自由と責任、自然との乖離と共生を彷彿とさせる街だ。
歩いているとよく見かけるのが、まずこの檳榔屋だ。
かつて、工事現場の人々は、苦しい労働のつかの間の安らぎのため、タバコ感覚でこの檳榔を噛み続けた。
基本はお客さんは男性なので、売り子はセクシーな格好の女性が多い。
しかし、今では規制が厳しくなり、セクシーな人がいる店は1軒くらいしか見なかった。檳榔ビジネスが専業になるくらいだから、相当需要があるのだろう。
需要があるといえば、このバイクもそうだ。
バイクの数が桁違いに多い。
バイクの販売店と、バイクのヘルメットを販売するビジネスをしているお店が多い。
さて、僕が行きたいカフェはここにある。
一見、何もない。
しかし、良く見て欲しい。
縦信号の真下に扉があるカフェこそが、僕が台北で最も行きたかった場所の1つ、
「Ruins Coffee Roasters」だ。
大きな時計は15:30を指している。
アジアンテイストのDIYがなされたレトロでおしゃれな空間が僕を出迎えてくれた。
このカフェの面白いところは、まず建物の活用アイデアだ。
かつて水力発電所の部品を作っていた工場があったが、もうどうしようもないくらい廃墟になってしまった。
近所の人から見ても、まるでお化け屋敷。
困っていたところ、カフェ経営経験のあるオーナーの洪璽開さんがリノベーションを引き受け、おしゃれ空間に変身したそうだ。
日替わり店長制も関係あるのか、様々なお客さんがくるようだ。
今回は新聞の取材が来ていた関係で、運良く洪さんとも直接お話しすることができた。
やはり、廃墟の時のボロさをうまく空間に残しているのが、空間としての愛おしさを生んで、人を惹きつけていると感じた。
僕が写真を見せながら東京都日野市で取り組んでいた場づくりのお話もすると、真剣に聞いてくださった。
リノベーションで使用する工具は壁に展示。
雑味があって、空間の賑やかさも生み出している。
椅子や机の手作り感も良い感じ。
若者の勉強スペースにもなっている。
ここは作業したい人向け。
上の写真のコンクリートの上には、秘密基地のような隠れ家スペースが存在する。
登ってみたくなって、ワクワクする。
ここは、何人かでワイワイ話す人向け。
ところどころに配置されている観葉植物が空間を生き生きとさせ、廃墟に息を吹き込んだような生命力を放っている。
この上と下のスペースの間にあるコンクリートは完全に直していない。
穴ぼこだらけで、鉄がむき出しになっているところがまた面白い。
女性がスカート履いてきたら絶対大変だろうと思ったが、おしゃれで面白い。
外にも、スペースがある。
植物にかこまれていて、居心地が良い。
ランプの明かりがかっこいい。
せっかくなので130TWDのコーヒーと、150TWDのコーヒーを注文した。
これがまた美味しすぎた。
280TWDは日本円でいうと、700円くらい。台湾では、300円くらいで普通にランチができるので、単価は高めだと思うが、それでも払って良かったと思える雰囲気の場所だった。
コーヒーの中には、アイスが入っていて、カキ氷のようなザラザラした粒も入っている。ケーキには、ホイップとドライフルーツなどがまぶしてある。
やはり、アジアンテイストの空間のデザインの力をまざまざと感じた。
バラックのように、瑣末な資源を必死こいてかき集めて作ったものは美しいし、人に感動を与える。
同じように、廃墟というハンデを抱えながらも、DIYという手間のかかる手法で、コストをかけず今ある資源を最大限生かした空間は本当に美しい。
僕が好きなのは、空間から地域や人の純粋な心を連想できるような、素朴で人間臭い雑味のあるデザインの建築だ。
こういうものに、「人が集まる空間」のヒントが隠されていると思う。
いま、デザインと建築が学びたくなってきた。
僕は元々古民家鑑定士を取ったのもあり、空間を分解する視点で場を捉えてきた。
最近は、京都の木造建築に浸りながら、建築やデザインを少しずつ学んでみたいとふと思うことがある。
さて、これからどうしようか。
まずは、旅の中でもっともっと創り上げたい場のイメージを膨らませ、ビジョンを精緻化していきたい。
さて、今日からは中国に急遽飛び立つ。
どんな空間との出会いが待っているのだろうか。
本当に楽しみだ。
info.
Ruins Coffee Roasters
台北市木柵路三段242號
https://www.facebook.com/RuinsCoffeeRoasters/