幻魔大戦 (映画)   1983年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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監督  りん・たろう
脚本  真崎守
原作   平井和正・石森章太郎
音楽  キース・エマーソン、青木望

 

キャスト
東 丈(ジョー)    :古谷徹
ルナ           :小山茉美
ベガ                  :江守徹
東 三千子          :池田昌子
沢川 淳子          :潘恵子
フロイ                :美輪明宏
幻魔大王           :佐藤正治
カフー                :穂積隆信
ザンビ               :永井一郎
ザメディ             :滝口順平
江田 四郎          :塩沢兼人
ソニー・リンクス   :林泰文
タオ                  :原田知世
ヨーギン            :槐柳二
アサンシ            :田中秀幸
サラマンダー      :内海賢二
オライリー署長   :寺田誠
女占星術師       :白石加代子


予告編

 

 

感想
映画の前にまず「少年マガジン」に平井和正・石森章太郎の共著でマンガが連載されていたらしいが、記憶がない(石森章太郎と言えばサイボーグ009)。平井和正の同名小説は数巻読んで挫折。
映画はレンタルビデオの頃に一度観たが、今回ある方面からたまたま視聴。

 

いわゆる超能力もの。初見の時は学生服姿のジョーが、えらくカッコ良かったナーという印象。
フロイ役の美輪明宏の声が若い(イイ声)。そしてその声に乗せてバッハのトッカータとフーガ(例の「鼻から牛乳~」)。

これもキース・エマーソンの演奏だったんだろうか。しかしアニメの音楽にこの人使うなんて、バブルの時代やったんやナー。

 

この話は膨大な物量だから、いくらジョーを主役に立てたとしても、前半部分をもう少し端折らないと。
ジョー、そしてソニーを仲間に引き入れるまでに半分以上使っているから、それ以外の戦士は結局「その他大勢」の扱い。

敵キャラも何かスケールが小さくて、ザンビなんかガスレンジで殺されてしまった(笑)。
最後の戦いでの龍も、炎の造形なので実体感がなく、迫力に欠けた。
大友の持つ画像の重層感みたいな映像があまりなかった。

この辺りのフラストレーションが「アキラ」で解放されたのだろうか。

 

またこの作品は大友克洋がアニメ進出するきっかけとなったものだが、やっぱ女性の描き方はイマイチ。

石森章太郎キャラ(例えば003)だったらもっと感情移入出来たかも。

 

ここで表現されたジョーの姉には、石森章太郎の実体験が投影されているらしい。彼が漫画家になる時にも、家族の中でただ一人賛成し、トキワ荘で一緒に暮らしたが、病気で24歳の若さで亡くなった

 

この映画、興行収入は10億と、そこそこのヒットで、ある程度成功と言えるだろう。

テーマ曲の「光の天使」意外にいける。

キース・エマーソンといえば、コレ

 

あらすじ
女占星術師の独白
1000年の恒星系の半ば以上は消滅した。380万光年のかなたから刻一刻と闇が押し寄せて来る。地球も暗黒の闇に包まれる。あらゆるものの完全なる絶滅。
一人の少女がカギを握っている・・・・・

 トランシルバニア国の第一王女、ルナ姫を乗せた旅客機が隕石の衝突で墜落。乗員は全員死亡の見込み。墜落直前に、持っていた水晶玉が異常に光るのを見るルナ。

ルナはまばゆい光の中に浮いていた。助けてくれたのは、宇宙意識のエネルギー体「フロイ」。
10億年の間に無数の星雲、島宇宙が消滅した。それは幻魔の仕業。凶暴なエネルギー生命。
幻魔との戦いは無限の過去から続いている。最も勇敢なサイボーグ戦士ベガは200年戦い続けた後、恋人アリエータの死により敗残兵となって幽閉された。それが2000年前の話。
幻魔の手は地球のある銀河系に伸び始めている。

 

いずれ幻魔の力を検知する少女もろとも殺す目的で、封じられたベガと共に、送り込まれたのが今回の隕石。
サイオニクス戦士ルナとして地球のため、自分自身のために戦えと諭すフロイ。
隕石の中に閉じ込められていたベガは、ルナの声を聞いて力を取り戻し、拘束を外した。

 

高校に通うジョー。野球部だが、文武両道の四郎にレギュラーを取られて面白くない。年の離れた姉との二人暮らし。
街で不良に殴られ、路地で空き缶を蹴ってウサばらし。そこへ暗闇から現れたベガ。

仰天して逃げ出すジョーだが、とことん追いかけて来る。建設中のビルを駆け上って何とか逃れたと思ったら、空を飛んで目の前に現れた。
建材が崩れてジョーが下敷きになる寸前、その建材が動きを止めた。危機を逃れたジョーはそのまま家に帰る。

 

戦士を見つけたルナとベガ。だが能力を単純に自分の力だと勘違いしたジョーは、気ままにその能力で遊ぶ。
早く使命を教えるために、ルナとベガはジョーを引っ張り出し、フロイの意識を送り込んだが、刺激が強すぎて幻魔の暗黒部に引き込まれそうになり、完全に心を閉ざしてしまう。
ルナがその深層意識に入り込む。そこに居たのは姉。姉がジョーの支えの全て。その姉から引き離し、何とか自我を取り戻させる。

 

 

 

その間にも幻魔は気候を操作してアメリカに大津波を引き起こし、廃墟にした。その廃墟で強盗を繰り返す少年ギャング団のボス、ソニー。壁を抜ける特技を持っており、それでいつもピンチを切り抜けていた。

 

そんな時に幻魔の手下のザメティの計略で、抜けられない檻に閉じ込められる。ベガとルナで助けようとするが手に負えず、世界各地の戦士に応援要請。
ジョーが駆け付けて何とかソニーを逃がすが、強大化したザメティに手こずる。いったんはその場を逃げたソニーだが、老師のトーギンに諭されて戻る。
皆の協力で本体を異空間に捨てたが、その直前にザメティは逃げた。

 

ジョーの姉・三千子の家を訪れる警官。実は幻魔の手下のザンビ。次いでザメティも加勢に来た。

絶体絶命の中で三千子が超能力を発揮し、ガスレンジの炎でザンビを焼き殺す。だがザメティに首を絞められる。
その直後、家に戻ったジョーだが、一足遅く、姉は息を引き取っていた。
逆上して敵討ちに向かうジョーだが、遠距離を飛行して能力は残っておらず、途中で倒れる。

倒れたジョーを助けたのは四郎。

知り合いの医院に担ぎ込んで何とか処置。
そこに現れたタオ。ジョーの様子を見ていた。そんな時に大地震が来た。そこで医者に化けていたザメティが四郎を襲う。
医院は全壊し、落ちそうになったタオを助けるジョー。タオの予知能力で、指さす方向の先で大噴火が起きるという。その方向は富士山。

 

 

 

富士山での決戦。ベガ、ルナ他の戦士も集結。大ボスのカフーが現れる。ジョーとアサンシで挑むが通じない。

カフーの攻撃で石化してしまうジョーとアサシン。その時ジョーの体から何かが出てカフーを捕らえ、消滅させた。

駆け付けたルナたち戦士が協力してパワーを送り、ジョーとアサシンは生還した。姉三千子の残留思念がカフーを倒した時に、ジョーが強く感じた愛の力。

 

 

だがアサシンはまだカフーが生きていると確信。その通りにカフーが火口から現れ、龍の姿となって襲いかかる。
個別に戦うが歯が立たない。ベガが、自分の体を増幅装置にして、奴の体にエネルギーを逆流させると言う。
ベガを要に戦士みんなで輪を作って力を結集し、それを龍にぶつける。そこにジョーが絶対零度の冷エネルギーを注入。凍り付いた龍は粉々になった。

この戦いで、人の姿を保てなくなったベガは緑色の玉となり、ゆっくりと空に昇って行った。