日本老年学会なる学者集団が、1月5日に会見を行いました。その会見の内容は「本当に学者集団なのか?」と思わざるを得ないものです。現在高齢者の定義は65歳となっていますが、日本老年学会は高齢者の定義を10歳引き上げる75歳~89歳とし、90歳以上を超高齢者と結論付けました。彼らの言い分は次の通りです。

 わが国を含む多くの国で、高齢者は暦年齢65歳以上と定義されています。しかし、この定義には医学的・生物学的に明確な根拠はありません。わが国においては、近年、個人差はあるものの、この高齢者の定義が現状に合わない状況が生じています。高齢者、特に前期高齢者の人々は、まだまだ若く活動的な人が多く、高齢者扱いをすることに対する躊躇、(高齢者扱い)されることに対する違和感は多くの人が感じるところです。
 医学的・生物学的根拠はなく、また高齢者扱いしたり、されることに対しての問題意識を述べております。たしかに僕自身、今まで医学的・生物学的根拠に基づく高齢者の論文を見たり、聞いたりすることはありませんでした。ただ、医学的といっても、論文解釈には限界があるので、老年学会が主張する「高齢者扱いをすることに対する躊躇、されることに対する違和感」に注目し、内閣府の調査を読んでみました。平成15年度に実施されたものですから、およそ10年も前の資料で結構古いものですが、平成15年度の平均寿命は男78歳、女85歳です。平成26年度(2015年度)の平均寿命は男80歳、女87歳で、「寿命だけ」見ればそれほど変わらないのではないと思います。

平成15年度 年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査結果の概要

 この調査は、20歳から10歳ずつの階層(30、40、50、60歳以上)を作り、無作為に選んだ人たちに対し、面接をし、恐らく面接できなかった人に対しては郵便で書類を送ったのでしょう。
第1章 調査の目的、方法等


 一つ一つ詳細に書いていくと、こっちも大変ですし読者も読み込むのが大変でしょうから、ザックリ書いていきます。
 まず第一に「何歳以上の人がお年寄りか?」という質問に対し、全年代の大半が70歳以上の回答を示しておりました。以下65歳以上、75歳以上と続きました。pp.5

 第二に、「どの時期からがお年寄りか?」という質問に対し、「身体の自由がきかないと感じるようになった時期」と答えた割合が全年代でおよそ4割を占めておりました。以下年金を受給するようになった時期、仕事から引退し、第一線を退いた時期と続きました。pp.7

 第三に、高齢者のイメージに対しては「心身がおとろえ、健康面での不安が大きい」と回答した者がなんと7割に至り、次に経験や知恵が豊である、収入が少なく不安が大きいと続きます。pp.9

 第四に、「自分の高齢期に生活の不安を感じているか」との質問に対し、「大いに感じている」が3割、「多少感じている」が5割と、両方を足すと8割という、老後のことが心配という割合が大きく占めておりました。pp.11

 第五に、「自分は高齢者として認識しているか」について、20代~60-64歳の階層は「(高齢者に)あてはまらない」と多くの人が回答しており、65~74歳の階層は半分が「(高齢者に)あてはまる」と回答しており、75歳以上の階層は8.5割の人たちが「あてはまる」と回答しておりました。pp.15
第2章 調査結果の概要

 なるほど・・・たしかに老年学会が言うように「高齢者扱いすることに対する躊躇や、されることに対する違和感」ということを考えれば、「私は高齢者だ!」と思っている人が多い75歳以上を高齢者として定義することに対しては間違いではないかもしれません。しかし、65~74歳以上の人たちは半分が「私は高齢者だ!」と思っているため、高齢者の定義を75歳まで引き上げなくてもよいでしょう。
 しかも、第一の「何歳以上の人がお年寄りか」という質問に対し、全年代が70歳以上と答えていることから、主観的(自分は高齢者だ!)な考えと客観的(~歳から高齢者だ!)な考えがうまいぐあいに交差していることから、75歳以上を高齢者の定義とする老年学会の主張には疑問を感じずにはいられません。

 この老年学会の見解を政府が都合の良いように解釈をしなければいいのですが、自民島という島が原産地の、政治蚊という人間のふりをした害虫どもがうじゃうじゃしておりますから、安心して暮らすことはできません。

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