アメリカで100万部以上を売り上げた、セクハラで解雇された「超」の付く大物司会者による「反日」本、
の内容のご紹介です。
著者等の背景については昨日のこちらの記事をご覧ください。
昨日も書きましたが、この本の主旨は
「原爆投下は間違っていなかった」と改めてアメリカ人に訴えるものです。
そのことをはっきりと前書きに書いてあります。
ちなみに、Bill O'Reillyは一部の大統領に、原爆投下の正当性を問う書簡を送っており、
パパブッシュ、カーター大統領は「正しかった」、子ブッシュは「大統領とはやり直しのきかない職である」として正当性への明言は避け、
ビル・クリントン、オバマ大統領からはコメントなし、ということになっています。
さて、100万部も売れたこの本、やはり売れるには訳があって、非常に読みやすいのです。
約10ページずつからなる30章の本ですが、
それぞれの章に主人公がおり、
それは名もない一アメリカ兵であったり、トルーマン、マッカーサー、
原爆を開発したオッペンハイマー、一日本兵、昭和天皇、広島の一市民、、、等々
それぞれのストーリーに感情移入している間に、
どんどん原爆投下・日本の降伏に向けて、カウントダウンのような形式で話が進んでいきます。
正当化のロジックとしては、
日本はどれだけ主要拠点を抑えても降伏しないぞ。
太平洋では拠点を抑えても、ゲリラ攻撃やKamikazeにより、どんどんアメリカ兵が死んでいくぞ。
フィリピンなどでも街を荒らして、女性をホテルに集めてレイプしたりと、やりたい放題の残虐な奴らだぞ。
日本全土を空襲してもまだ降伏しないぞ。
沖縄落としてもしないぞ。
こりゃ本当に本土に上陸するなんてなったら、とんでもない犠牲がでるぞ。
せっかく原爆を開発したし、落とすぞ。
降伏するまで落とし続けるぞ。
という、まあよく聞いてきたようなものではあります。
この本によると、のちに大統領となった、欧州での作戦を指揮していたアイゼンハワー、
太平洋を指揮していたマッカーサーは原爆投下に反対だったのだとか。
しかしながら、アイゼンハワーは人道的見地から、
マッカーサーはアイゼンハワーがやってのけたノルマンディ侵攻、D-Dayに匹敵する日本上陸大作戦を決行したい、という個人的願望のために原爆投下には反対していたようです。
マッカーサーについては、マッカーサーは日本を降伏させるためには「国体護持」を約束すればいい、とわかっていたが、
自身が上陸作戦を敢行したいがために、進言しなかった、とされています。
結果的にはマッカーサーを外すような形で投下計画が進められ、日本が降伏するに至ったと。
降伏するまでは、日本はとにかく残虐で、かつ国民がこれほど犠牲になりながらも、決断ができない愚かな国、
といった印象を受けますが、
日本を罵倒する一辺倒ではありません。
おそらく「永遠のゼロ」のモデルになったと思われる、アメリカ軍が特攻で損害を与えることには失敗(爆弾が不発で)した日本兵に敬意を表し、水葬にするエピソードなども盛り込まれています。
原爆については惨状もそれなりに描かれていおり、二度と地上で繰り返してはならない惨事であることは読み取れます。
そして、
ソビエトも(特に満州侵攻時は)日本並みに残虐であったこと(あくまでもアメリカは残虐ではないのだけれど)、
東京裁判の模様、
731部隊の研究資料と引き換えに、罪を不問にしたことはアメリカの罪でもあること、
戦争の勝者が別であったなら、
東京大空襲や原爆投下は「人道に対する罪」として裁かれていただろう、と東京大空襲の責任者が述べていたり。
物語の最後は、
実は著者のBill O'Reillyの父親が日本に占領軍として派遣されていた、と明かされ、
日本の人々は占領下で実によく規律を守って耐えた、と父親は日本人を尊敬するように至った、と述べられています。
そして、原爆が使われず、マッカーサーが上陸作戦を敢行していたなら、自分が(そして多くのアメリカ人が)存在することもなく、読者のみなさんがこの本を手に取ることもなかっただろう、と〆られています。
ということで、いわゆる「反日」本、としてしまうには抵抗があります。
(タイトルにしてごめんなさい)
日本人として読むのが辛くなる本であるのは間違いないですが、
これからずっとアメリカで暮らす、という方は特に、
アメリカ側からみると、日本との戦争はこう見えるのだ、ということを学ぶためにも
一読して損はないかな、と思います。
もうちょっと書きたいことがある気がするのですが、今日はうまくまとまらないのでこの辺で。
くしくも今日はパールハーバーの日でした。
アメリカの記念日は12月7日です。