「ウチの夫は仕事ができない」最終回感想 | 感想亭備忘録

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大演説でした。

錦戸亮さんは頑張ったと思います。

ただ、内容が完全に現実から乖離してしまっていて、虚構の物語なんだとハッキリ認識させられるものでした。

 

「仕事よりも家族」「子供といられる時間は短い」

全員とはいいませんがそんなこと重々承知だと思うんです。ただ子供を産み育てる以上、住居費、生活費、教育費が重くのしかかってくるんです。そのために、あるていど家庭を犠牲にせざるを得ない場合が多いんじゃないでしょうか。出世レースは名誉欲や功名心だけではなく、現実的にかかる費用を賄うだけの収入を確保するためにも中々降りる訳にはいかないはずです。

 

ドラマの登場人物のように、仕事ができないと思われても十分以上の収入を確保でき、大きな家に住み、育休も有給も取り放題という環境は現実ではほぼありえないと思います。そこを担保された登場人物のしかも実体験ではない話を延々されても説得力がありません。仕事と家庭の両立を自分はこのように成し遂げた、という話なら心に染みたでしょう。でも彼の語ったのはこういうのが理想ですよねー、いいですよねーというお花畑な理想論でしかありません。で、出世できず不足する収入はどう補うのか、周囲からの白眼視で働きにくくなる職場環境をどうするのか、ヒントすらありません。あの場に出席した参加者は、無力感と焦燥感を植え付けられるだけじゃないですか?意味あるんでしょうか、あんな話聞かされて。

 

中途半端に説教臭い演説よりももっと脳天気に子供も生まれて仕事も大成功でよかったと思います。元々リアリティーとはかけ離れたところで展開しているドラマなんですから。ほのぼの脳天気なドラマで充分だったのになぜ上から目線の大演説なんかしちゃったんでしょう。残念至極です。