以前から臨床医の仲間と臨床研究を一緒に進めようとしていて、いろいろなところに研究費の申請をしているのだが、競争が激しすぎてなかなかそのプロジェクトに対しての助成金が獲得できないでいた。

 

 

すると最近その臨床医が、もしかしたらある製薬会社が僕らの研究内容に興味を示すかも知れないとの情報を入手し、今日その製薬会社の担当者とミーティングをしてきた。

 

 

製薬会社から助成を受けると聞くとなんとなく怪しいイメージが付いて回ると思うが、実はそうでもなくて我々のような大学病院で行われている臨床研究は結構製薬会社からの助成で行われている。

 

 

助成と言ってもお金のサポートというだけでなく、その製薬会社が作っている薬を分けてもらったりすることもある。製薬会社としても、薬の適応を広げるためには臨床研究をしなければならないが、そういう研究は我々のような大学病院で行わなければ患者数も集まらず、結果が出るのに時間がかかってしまう。

 

 

だから有効そうな薬が開発されると、製薬会社と大学病院は共同して薬の安全性や有効性をなるべく早く調べて世に送り出そうとする。そのために、大学病院は臨床研究を行い、そのために必要な薬にかかる費用や検査にかかる費用を製薬会社が負担してくれるのである。

 

 

今日はその共同研究を進めていく上での第一歩目のミーティングだった。

 

 

まずは、我々が今まで発見してきたことを説明し、今後やっていきたい研究を正直に提案した。しかし、その最初の提案にはその製薬会社の薬を使う予定は入っていなかったので(ありのままに提案しすぎた)、その担当の人も「その提案にたいてして、どうサポートしたら良いかがわからない」と。

 

 

まぁそれはごもっとも。僕が相手の立場でも同じことを言っただろう。

 

 

そこで「ではどうしたら彼らが我々に助成できるか」を製薬会社の人を含めてみんなで議論することになった。

 

 

この会社が作っている薬が今のところ「ガンの骨転移(僕のメインテーマ)」に対して一番効くと言われている薬なので、結局「その薬を投与すること」が患者さんには一番メリットになるだろうし、会社的にもその周りで研究してもらうことが一番メリットになる。

 

 

ということで、その薬を投与しながら我々がやりたい研究をやる方向に条件をすり合わせることでなんとか落ち着いた。

 

 

その研究自体は我々が今回提案したことの次のステップとして考えていたことなので、うまくいけば我々にとっても意味のある研究になりそうである。

 

 

しかしこれで全てが決まったわけではなく、これからその担当者が会社に一旦持ち帰って、上司に相談し、会社として本当にサポートしたいことなのかを検討するとのこと。

 

 

たとえ今回この話がうまくいかなかったとしても、我々としてはこの研究は進めていく予定なので、少しでもサポートが貰えたらラッキーぐらいに考えてあまり期待はしないでおくことにしよう(ダメだった時のショックを減らすのとうまく言った時の喜びを倍増させるために)。

 

 

本音は上手くいって欲しいけどね。担当の人、上司の説得よろしく。

 

 

 

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