今日ラボで教え子の1人と話をしていると「自分はたくさんのプロジェクトを抱えているが、今一体どれに集中したらいいかがわからない」と相談してきた。

 

 

それに対して「ラボとして優先的にやらなくてはいけないプロジェクトにまずは集中したらどうか?」と提案してみたのだが、なんか腑に落ちていない雰囲気。

 

 

そこで、いろいろと質問を変えて、その子が何を不安に思っているのかを探ってみると、どうやら「3ヶ月後にその子がやらなくてはいけないプレゼンテーションにデータが揃わないかもしれない」と今から不安に思っているということがわかった。

 

 

だから、おそらく「一つのプロジェクトに集中してそのプレゼンテーションのためのデータをたくさん集めたい」ということを遠回しに僕に言いたかったんだろう。

 

 

僕からしてみると、今の時点でも発表するには十分のデータもあるし、何も心配する必要はないと思うのだが、なぜかその子はもっとデータが欲しい様子。

 

 

さらに深く追求してみると「十分はデータがあるのはわかっているが、他のグループの人はたくさんデータをだして発表しているので、自分もそうしなきゃいけない」と思っていて、そのせいで今の時点で軽くパニックに陥ってしまったみたい。

 

 

発表することにナーバスになるのは普通だし、それはそれでいいことだとは思う。

 

 

だが、他人と比較して自分も同じようにしなくちゃいけないと思って不安になるっていうのはちょっと違うと思うし、僕の教え子にそうはなって欲しくない。

 

 

たとえ、データは少なくとも自信を持って欲しいし、少なくたって人を魅了するプレゼンテーションはできるはず。

 

 

僕が思うに他のグループの人たちのプレゼンテーションは確かにデータはたくさんあるが、その分まとまりがなくわかりにくいものが多いような気がする。

 

 

彼らも不安でたくさんのデータでただ武装しているだけなんだと思う。

 

 

他のラボは他のラボ。うちのラボはうちのラボ。

 

 

そういう話をとうとうと話し、最後に「量より質を重視してプレゼンテーションをすれば何の問題ないよ。だから、心配せず今のまま研究を続けていれば大丈夫」と励ました。

 

 

するとやっとスッキリした顔になって実験に戻って行った。

 

 

つくづく人を育てるのって大変だなって思う。でも、こういう時間は嫌いじゃない。

 

 

プロフェッサー、たまにはこんなコーチングみたいなこともやらななきゃならない。

 

 

果たして研究だけに集中できる日はいつかくるのだろうか?

 


 

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