この間トロントに行って(こちら)習ったことの一つに、研究費を取ることのコツとして「患者さんのためになること」を中心に考えて研究のアイデアを練ること、と言うのがあった。

 

 

これは僕も常日頃から考えて研究を行ってはいるが、正直なところ今研究助成を受けているほとんどの人がこれを考慮に入れていないと言うのが現実である。本当にただ研究費を稼ぐだけが目的になっていて、研究成果が患者さんの利益に還元されていないことの方が多い。ここ最近はそれに気がつく人が多くなって来ていて、研究のための研究を行うことが問題視され始めている様子(今頃か?って感じもするが、気がつかないでいるよりはマシ)。

 

 

そのことを習って来てから、自分の教え子の一人に「これらのことを踏まえて将来自分が独立するときの研究テーマを考えてごらん」と言う宿題を出していた。

 

 

まぁ、独立すると言ってもまだまだ数年先の話なので、長いスパンでその答えを探していって、いつか見つけてくれればいいなって思っていたのだが、ふと最近僕の中でいいアイデアが浮かんでしまった。

 

 

そのアイデアとは、その子のバックグラウンドも活かせて、僕が今やっていることとも近いけど重なり合う部分があまりないと言う独立するときに最適なもの。しかも、ここ最近患者さんのニーズが増えていて、これからまさに流行りそうな分野。

 

 

そして、僕はかなりその分野に興味はあるが、今の僕にはその研究テーマを追うことは手を広げすぎることになるので、あまり得策ではない。

 

 

と言うことで、その教え子に「こう言うテーマがあるんだけど、将来やってみたらいいんじゃない」と提案してみたところ、僕が提示したテーマ自体は知らなかったが「それに近いことに興味を持っていた」と、とても興奮しだした。

 

 

僕にとっても、僕がやりたいことを自分の教え子がやってくれたら非常に嬉しいし、まさにWin-Winの関係だと思う。

 

 

そして、最も嬉しかったのが「そんな独立するときのことまで考えてくれているボスはなかなかいないし、テーマをこんな簡単にくれるのも珍しいし、このラボに来て本当に良かった」と言う言葉をくれたこと。

 

 

こんな風に言ってくるなら研究テーマなんかいくらでもくれてやるぜって感じ。

 

 

まぁ、先のことなのでどうなるかはわからないが、その子が本当にそのテーマで研究をやってくれたら嬉しいなって心の底から思う今日この頃。

 

 

 

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