(2012年7月31日の記事に追記しました)
 
本日はMARS投資について整理をしていきたいと思います。

まずMARS投資とは、医療機関から診療報酬請求債権(MARS)を額面より安く買いとり、金融機関へ高値で売却することで利益を上げるビジネスへの投資になります。

そんなことが出来るの?と、疑問に思われるかと思いますが、米国では診療報酬を現金化する手続きがとても複雑で、少し手数料を払っても早く現金化されたい病院が多いようです。

利回りは投資金額によって変わり、6~8%/年になります。
 

という一応の理屈は通っているMARS投資ですが、投資する価値があるのでしょうか?
私なりに問題点を挙げてみます。

1.為替リスクがある
米国の商品に投資するわけですから、為替リスクにさらされます。最悪、利息が為替差損で全て吹っ飛ぶ可能性も考えられます。

なお、利回りをマイナス0.5%することで為替ヘッジをするコースもあるそうです。(そんなに安く為替ヘッジが出来るのか微妙ですが)

そうすると、リーマンショック前の米国の長期債との差が少なくなってきます。
そう考えると、利回りが微妙な感じを受けます。


2.利回りのカラクリ
この商品は、投資金額が増えると利回りも高くなる仕組みを採用しています。
大量購入してもらうと販促にかかる費用が抑えられ、コスト削減となり利回りにプラスすることが出来るのは理解できます。

しかし、投資金額の違いで2%も利回りが変わるというのは普通ではありません。
単にお金を沢山集めることが目的ではないのかと勘繰りたくなります(過去の安愚楽牧場のように)。

3.MARS投資を語った詐欺がある
ある程度流行しているせいからでしょうか、MARS投資と謳い実際は投資していない詐欺というケースもあるようです。

投資する際はきちんとした業者かどうか、問題なく投資しているか等を見極めて投資するべきです。

私の結論は見送りです。
上の理由以外にも、アメリカの診療報酬というものに対して日本人が資金の出し手となるのか理由が分からない。アメリカの投資家に販売した方が楽ちんだと思います。
また、銀行から低金利で借入を行えば個人投資家からお金を集める必要がないのに、どういして借入を行わないのか、こちらも理由が分かりません。
 
 
【追記】
日本でMARS投資を行っていたMRIインターナショナルが、実際は運用を行っておらず詐欺であることが明るみになりました。被害総額は1,300億円にのぼるそうで、関東財務局へ提出した届出も虚偽であったとのことです。
返金も困難になっているそうです。
 
大変残念ですが、安愚楽牧場、円天、MRIといい、投資対象を巧みに変え、有名人を広告塔に起用することで安心感を与えながら出資させる手法はいつの時代も変わりません。
 
逆を言うと、安心感を与えるためにリスクを低く見せる傾向にありますが、それは一方で投資家からお金を集めるのではなく銀行融資で対応できないのか、他の手法で対応できないのか。または、有名人を起用しないといけないほど魅力的な投資対象ではないのか、という疑問符を我々が持ち、問いかけ続ける必要があります。