ルネッサンス発祥の街、フィレンツェ。

街の中心地の風景は1500年代から変わらず

そんな時代の映画の舞台になっても時代劇

セットなしでそのまんま撮影できる街である。

 

実際に私の住んで居る建物もおそらく築数百年

であろうし、前の職場にいたっては一部が

1200年代の建物であった。

 

でも、当然だが建物を使っている人間も商店も

今の2017年に生きているわけで、センター地区の

お店の移り変わりはびっくりするぐらい早い。

あるメイン通りの一つを1年くらい歩いていないと

たかだか200メートルぐらいの通りにある店の

数件は新しいものに変わっていたりする。

きっと店の維持費が異様に高くて、相当売れなければ

やっていけないのだろう。厳しい世界である。

 

そんな中、先日うちの近くに新しいジェラート屋さんが

オープンした。ジェラート屋はフィレンツェでは

過剰供給にある気がするのだが、まあそれでも

ハズレのない商売なのかもしれない。

前を通ると試食などをくれたので遠慮なく頂くと

それがすごくおいしいかった。フィレンツェ中のジェラート

屋さんの中でもかなり上位に占める味である。

しかしちょっと異色なのは、この店が中国人経営で

あること。(イタリア人なのかもしれないけど明らかに

人種は中国人)そして彼は今までよくあった”イタリア語

の喋れない、アジアショップ経営の中国人”ではなくて

みかけ以外は普通のイタリア人であったことだ。

 

そういえば、これまたうちのすぐ下のタバコ屋の

経営者も若い中国人(の顔をした明らかにイタリア人)

だし、先日行った中国人経営の和食屋さんのスタッフ

もみんな、イタリア語はペラペラであった。

 

中国人はイタリアにおいてちょっと残念な見方をされて

いる。なぜなら移民として集団でやってきては地元

の産業を圧倒的なコストパフォーマンスで食い尽くし

ホスト国であるイタリアに馴染もうとせずに自分たち

だけのコミュニティーでどんどん金持ちになっていく、

というパターンだったから。

 

でも当然そういう中国人家庭で2世、3世が育ってくると

その子達はイタリア人としてイタリアの学校に通い

イタリア人のアイデンティティを持つ。

 

ジェラート屋もタバコ屋もレストランの子達も

すごく若かった。20代前半から30代の間だと思う。

おそらく移民世代の3世じゃないだろうか。

その子達がやっと、イタリア人として馴染み出したという

ことなのかもしれない。

 

なんか新しい流れだなあ。

とちょっと清々しい思いになったのである。