家電(いえでん)をやめたら

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優雅な昼下がりにかかってきた一本の電話。

受話器を取ると品のいい女性の猫なで声。またセールスかと思ったら、どうも風向きが違う。

 

「県警からの依頼で、最近たるたる様のお住まいの地域周辺に振り込め詐欺の電話が多くかかっていることへの注意喚起のお電話です」。

女性はまるであらかじめテープレコーダーに吹き込まれたかのような立て板に水の流暢さで振り込め詐欺の手口や対処法について話し続けた。

 

面白かったので適当に相槌を打ちながらそのまま聞いていたが、最後に

「たるたる様はこういった電話は受けたことはございませんか?」

と尋ねられた。

 

こっちの情報について引き出そうという内容ではまったくなかったのでこの段階で怪しい電話ではないと確信はあったが、それでもなんか妙な感じで訊かずにいられなかった。

「あの、逆に質問していいですか?この電話って手当たり次第にかけてるの?データの入手先とか、どういうルートなのかとか、ちょっと不思議なんですが」

 

「ああ、そうですよね、いきなりこんな電話怪しいですよね。こちらは県警から依頼を受けてNTTさんのハローページの情報提供を受けて、たるたる様のお住まいの地域の方には順番にもれなくお電話しております」

うちはハローページも登録してないけど、まあ情報の出所はそんなところだろう。

 

「いや、別に怪しいとかではなくて単純に不思議だったので」

「長々とお聞きいただきありがとうございました。どうぞ今後とも被害に遭わないようにご注意ください」

「いえいえ、こちらこそありがとう」

 

ただ、ウチにはどっちかってーと詐欺する側くらいの年の人間しか住んでないんだよね。

電話番号には年齢まで書いてないからなあ。

 

電話の向こうの女性にごめんね、ありがとうと思いながら受話器を置いた。

 

***

 

家電(「かでん」ではなく「いえでん」)をやめてから数か月が経つが、ここまでのところ不自由に感じたことはない。

 

もともとはむぺむが「家電無駄。意味ない。もうやめよう」と言い出した。

正直わたしは自宅の電話がなくなること、携帯一本のみになることに対してになんとなく抵抗というか不安があった。

 

だが実際やめてみてもこれといって不自由はなかった。

あったところで自宅の電話にかかってくるのなんて、身内かせいぜいセールス電話くらいだ。

 

ただし、うざいだけのセールス電話や前述のように意図不明瞭な電話でも「200本に1本くらい」その言葉にハッとさせられることもあり。

 

 

葬儀社から墓のセールス電話。

 

めんどくさかったので持ってはいなかったけど「すでに持っている」と回答した際、オペレーターの女性の一言にはドキッとした。

 

「お守りください」

 

オマモリクダサイ!なんて素敵な捨て置き台詞!

業界の特殊ルールなのかもしれないけど、コレには思わず「アナタからお墓買うよ!」って言いそうになったね。

 

 

そういう出会いがなくなることが、自宅の家電をやめた唯一の損失だったかな。

 

ま、打率低すぎるから実際はまったく問題ないですけどね。

 

 
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