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あなたは利用者さんに人気のある職員ですか?

2017年02月16日 00:56

介護の学校へようこそ。


私は現在都内のサービス付き高齢者向け住宅にて、管理職をしております。管理者の仕事は多岐に渡り、来客対応、職員指導、トラブル対応。「こちらは病院ですか?」との迷い人の対応まで、実に様々でありますが、楽しい仕事をさせて頂いていると日々感謝しております。



私は、実にこれまで沢山の職に就きましたが、1.2年で何だかんだと理由をつけては転職を繰り返していたのです。転職も最初のうちは、「世の中にはきっと自分にあった仕事があるはず」と強気にもなれましたが、何度も何度も転職を繰り返し、「はじめまして、今日からお世話になる〇〇です。よろしくお願いします」との言葉を繰り返す自身に対し、「自分は人より劣る人間である」と思うようになりました。そんな私が、現在は「管理職」。本当にこの介護の仕事は「チャンスに溢れている」と日々実感します。だってこの私に、ありがたい今があるのですもの。。。



さて話は変わりますが、インターネット上では介護従事者の日々の困りごとや悩みが尽きません。職場関係、給与・待遇面、利用者・家族とのトラブル。話題は様々でありますが、「利用者さんに嫌われる職員の特徴」のような内容の記事はあまり目にすることがありません。利用者さんや家族が主体となり「あの施設の職員や体制は酷いもんだ」「あんな職員は許せない」等の記事はあまり見かけません。そこで本日の私に持ち掛けられた相談内容を皆さんに報告したいと思います。



私が勤務する職場の事務所を一人の男性利用者さんSさんが、私を訪ねてこられました。「私の入浴サービスですが、〇〇さんを担当から外して貰えないか・」との内容でした。Sさんは補聴器を利用されており、当然の事私たちはゆっくりと聞き取りやすい言葉で会話をしなければ、Sさんはこちらの伝えたい事を聞き取る事が困難です。また奥様を亡くされた後しばらくを自分なりに一人暮らしをされていた事での拘り、性格もあって、確かに個性の強い利用者さんです。




Sさんの入浴は以前一人暮らしをされていた時に利用されていた訪問介護のヘルパーさんとのやり取りが理想。お湯の量や洗身・洗髪、タオルの配置から拘りがあり、お風呂場との環境からも補聴器は利用できません。その為、通常でもやり取りに時間がかかる会話に更に工夫が必要です。軽度の半身麻痺がありますが、自分で出来る事は自分でやりたい・・・との希望(当然ではありますが・・・)正直、一つ一つの動作に時間が掛かる事は確かです。このSさんは週3回の入浴援助サービスを提供しておりますが、曜日により担当は異なります。そのうちの1日は私が担当をしております。



Sさんの主張はこういった内容です。「〇曜日を担当してくれている〇〇さんは、私の言うことをあまり聞き入れてはくれません。何かを頼むと、そのような突発的な依頼には対応できません。と言われました。場合によっては、対応は可能ですが、私は1時間のサービスをSさんに提供するよう依頼を受けている立場の職員です。別途依頼が発生すれば当然時間が超過してしまう為に答えはSさん次第です・・・とと言われました。」




「他の職員さんと比較しても、人の話を聞く姿勢や態度が悪く、お風呂後の保湿クリームの塗り方も雑で正直我慢ならないのです。今後は〇〇さんを外して貰い、交代の人がみつかるまでは中止で構いませんのでよろしくお願いいたします。」〇〇さんは私にはとても協力的で、他の職員ともうまく交流してもらっています。突発的に仕事を休む事もなく、依頼された仕事には彼なりに責任感を持って取り組んでいただいております。しかし、しかし・・・。利用者さんからこのような評価を貰ってしまっては。。。。




利用者さんの中には、確かに介護保険を理解していない方も多く存在します。場合によっては「家政婦や便利屋」のように1割の負担で利用できるならば、沢山使わないと損である・・・と考えている人も少なくないでょう。ましてや「サービス付き高齢者住宅」は自宅を離れ生活をする施設です。介護サービスと生活支援の分け方の理屈は難解なものです。当然家族や本人様も安心・安全・便利を期待しても不思議はない環境でもあるのです。



しかし、そのような利用者さん家族さんばかりではありません。また、利用者さんは実によく職員さんを観察しております。自身に対する対応や宅配業者・清掃業者への
対応・態度。職員同士の会話の雰囲気や言葉遣い。その職員さんが「本当に私たちの事を考えてくれているのか?」実にその部分をしっかり観察されているのです。



私たち介護従事者と利用者さんの関係は対等です。私たちは利用者さんへのサービスをアセスメントによる身体状況を把握し、必要であるサービス・希望あるサービスをどのように提供する事でどのような生活を目指す事が実現可能であるかを計画書として作成し、その内容であるサービス提供をどの職員が対応しても遜色ないように
する為、安全性を確保し満足度を維持する為に手順書を作成し提供をします。




実は私もSさんの入浴介助最初の頃は、説明に沢山の時間を要しました。60分のサービスに90分掛かっており、そのうち30分は会話でした。Sさんも自身が伝えたい事を担当する職員(私)が理解しない為、大きな声を出されたものです。2回目の援助提供時も同様に、「前のヘルパーさんはこうやってくれていたのにどうしてあなたは同じようにできないのか」と大きな声をだされました。Sさんとしては転居をされまだ数週間。職員が誰なのか判断が付かないような環境にて以前自宅で利用されていた訪問介護のヘルパーさんと同じ事を求めて当然であるとはおもいますが、私は言いました、「その大きな声で怒鳴るのはやめて下さい。私はあなたの召使でもなんでもありません。」「出来る限り満足いただけるお風呂を楽しんでいただきたい気持ちもありますが、細かな手順の違いを5分10分手を止め、注意をされては時間内にサービスの提供を行う事ができませんし、援助提供を繰り返す事で修正していきますから」としっかり伝えたのです。




そこからSさんと私の良好な関係が始まったのではとおもいます。できない事は出来ないと話す事は当然ですが、私たち介護従事者はできない理由を明確に伝える必要はあるかと思います。そしてそれは決して交換条件で成立させる事ではなく、突発的な対応が必要で何かを省略する必要がある場合は、相手に説明する事です。そしてその説明(正当な理由)に納得されず利用者さんが腹を立ててしまう場合は、それはしょうがない事でしょう。また、都度利用者さんから説明や指示を受けてしまう職員の多くは、利用者さんがどのような希望を持たれているか?を想像し先回りし対応する事が下手な人が多いです。




結果、上手な人には「私の事をよくわかってくれている」と称され、下手な職員は「いつも同じ事を言わないといけない人」と酷評をされるのです。利用者さんお希望は単純です。「痒い場所はありますか?」ではなく、「いつもここが痒そうなので強めにこすりますが痛くはないですか?」身体状況に配慮した対応なのです。


介護=気配り



これから介護の仕事を続ける皆さん、管理者を目指す皆さん。この「配慮」をする為には身体状況の把握、不安の聴取、希望の聞き取りは欠かせません。介護=気配りであり、その為には利用者さんを知ること。家族を知る事。ここを押さえておけば、あなたは嫌。出入り禁止何て事には決してならないでしょう。

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