中国の端午節
今日5月30日(旧暦の5月5日)は中国の端午節です。端午節は春節、中秋節と並び、中国の三大伝統節句の1つになっています。
端午節には海や川で龙船赛と呼ばれるドラゴンボートレースが行われたり、粽を食べたりします。
端午節の由来
端午節の由来は楚の時代まで遡ります。楚の時代に国王の側近である屈原という政治家がいました。
屈原は政治家だけではなく、詩人でもありました。屈原は今の時代の政治家たちとは違い、国や国民を思う気持ちが強かったため、国民から信頼されていました。
しかしながら、いつの時代もそうですが、それを妬む政治家たちもおり、屈原は彼らの陰謀により失脚し、国を追われてしまいました。屈原はこの時代、まさしくいつも四面楚歌のような感じだったのでしょう。
その結果、屈原は川に身を投げて、自殺をしてしまいました。それを知った人々は屈原を探すために、すぐに川に船を出しました。しかし、屈原は見つかりませんでした。
人々は屈原の死体が魚の餌になるのは気の毒だと考え、船で太鼓を叩き、魚を追い払ったり、川に粽を撒いて、屈原の死体が食べられないようにしたりしました。
国民に尽くした屈原はその死後も人々から愛され、毎年この時期になると、人々は屈原を思い偲んで、川に船を出したり、粽を川に投げ入れたりして、屈原の冥福と国の安泰を祈願するようになりました。
また、5月のこの時期は急に暑くなるため、病気にかかりやすく、亡くなる人も多くいたため、病気にならないように、健康をも祈願するようになりました。
このようにして、端午節の習慣が生まれ、現在に至っています。
ドラゴンボートレース
中国では端午節の時期に各地でドラゴンボートレースが行われます。
中国では端午節にかかわらず、マリンスポーツとして、海や川でよくドラゴンボートレースが行われています。
なぜドラゴンボートレースと言うかと言いますと、ボートの船首が龍になっているからです。また、船体にも龍の柄が描かれています。
ボートに乗る人は舵を取る人1人、太鼓を叩く人1人、それから、20人~30人ぐらいのボートを漕ぐ人たちです。ボートは細長いですので、バランスを取るのがとても大変です。長いボートになると、ボートを漕ぐ人たちが50人ぐらいになるときもあります。
こちらが実際のレースの映像です。私も端午節に1度ドラゴンボートレースを見に行ったことがありますが、現場で見ると、やはりとても迫力がありました。
太鼓を叩くのは魚を追い払うためではなく、漕ぎ手たちのリズムを取るためです。全員が一心一体となって、ボートを漕ぎます。ですから、映像を見ていただければお分かりいただけると思うのですが、スピードもとても速いです。
粽を食べる習慣
端午節には粽を食べる習慣があります。粽はもち米を笹の葉などで三角形に包み、煮たり、蒸したりしたものです。笹の葉は殺菌効果があるため、米の保存方法として、古くから利用されてきました。そのため、粽は保存食として、古代から食べられていました。
日本でも、昔はおにぎりをよく笹の葉に包んで、遠足に持って行ったり、保存していたりしましたが。
中国はとても広大ですから、ご当地ビールならぬご当地粽が各地にあります。
南方ではこちらの「蛋黄鲜肉粽子」と呼ばれる粽がよく食べられています。こちらの粽の中には肉や卵などが入っています。ですから、とても美味しいです。
その他には海鮮が入っている粽や小豆が入っている粽など、様々な種類の粽があります。
端午節の時期になると、スーパーなどで粽が売られ始めます。
粽は自分でも食べますが、周りの人の幸せも祈願するために、日頃お世話になっている方にもよく配ります。
私もよく学生から粽をもらいます。学生がくれるのは食堂やスーパーなどで買った物が多いですが、時々、学生の家族が作った手作りの粽をもらうこともあります。
学校によってはみんなで粽を一緒に作ることもありますが、ただ、粽は作るのに手間がかかるためでしょうか、餃子とは違って、そういう機会はとても少ないのが現実です。
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