二十歳の頃の私は、ただ、ただ勢いだけがあった。

 

若さゆえ、無謀で、向こう見ずで、とにかく、何でもできると思っていた。

 

もともと、人一倍負けず嫌いの性格で

 

何も努力しないうちから、「できない」と諦めて生きている周りの障害者の仲間に

かなり強烈な違和感を覚えていた。

 

自分の人生は、自分で切り開いていくものと信じていたし、今もその信念は変わらない。

 

国の各分野の福祉政策について、特に障害福祉政策の分野において、

 

新しい法律が制定されるたびに、

周りの障害当事者たちは、中身の精査もよく行わないうちに、権利のみを声高に主張し、

自ら、何ら行動を起こす様子もなかった。

 

そんな彼らを目の当たりにし、

私は、ああいう人にだけはなりたくないと何度も何度も思い、

 

社会福祉士と、福祉科の教員を目指した。

 

権利を主張する前に、できること、やるべきことを、きちんと果たさなければ

対等な立場を得て、話し合いに持ち込めないことを知っていたからだ。

 

大学は、刺激的で、理想があり、

未来の見える場所だった。未来を掴める場所だった。

 

しかし、福祉の現場も、教育の現場も、

未来など、理想など、何処にも見当たらなかった。

 

障害当事者が、それらの場所で働くためには、まず、生産性と機動性、稼働率を求められる。

 

専門職として日々の実務を行うということは、この繰り返しだ。

 

だが、障害の特性上、

どうしても、この3つの機能を満たすことができなかった。

 

すると、経営者及び管理者は、職場に貢献できない人材と見做す。

こうなると、どこに行っても、お払い箱になってしまう。

 

「車いすだから、動けません」は

通用しない。

 

「じゃあ、何のために資格があるんですか?

あなたにできる仕事を与えられるほど、うちの職場は余裕などない」

 

ということになり、結局、辞めざるを得なくなるか、

その前に退職を自ら申し出るように、組織全体で決断を迫ってくる。

 

この時の有無を言わさぬ圧力たるや、とうてい一人では太刀打ちできない。

 

悲しいことではあるが、

これが今の日本の障害者雇用の現実である。

 

これは、私が直面してきた、障害者が働くという状況であり、環境なのだ。

 

日本の障害当事者の進学率は年々、上がっている。

 

私が大学進学当初、障害種別を問わず、400人程度に留まっていた進学者が

H24年のデータでは、6000人に届く勢いだ。

今後も、進学者が増えていくことは間違いない。

 

この背景には、高度かつ専門的な知識・技能を武器に社会参加に意欲的な障害者が

いかに増加しているかという事実を如実に示す数字となっている。

 

どのような障害があろうとも、自立を目指し、社会に出て、

自分らしい生き方を選択しようとする人が増えることは、とても素晴らしいことだ。

 

各教育機関も、障害のある学生をサポートする環境を整え、

学びやすくなっていることも喜ばしい。

 

そのような現状の中で

 

障害者の就職状況、職場環境の改善・向上だけが

遅々として進まない。

 

特に、身体障害者は資格や技能を習得し、

大学や専門学校を卒業したにも関わらず、就職先が見つからず、つなぎとして、

障害者の職業訓練校に入学するケースも結構、多い。

 

職業訓練校が悪いという話ではない。

 

以前から、新聞や講演などの場で再三再四、訴えているように

 

学んできたものを活かし、活躍できる職場や仕事を、

身体障害者にも、対等に保障すべきである。

 

身障者用トイレ、エレベーター、介助者等の配置、

 

雇用する側は、設備投資に費用がかかり過ぎる重度身体障害者の雇用を

適当な言い訳を繰り返し、何十年にわたり、避けている。

 

本県では、近年、

精神障害者と知的障害者の雇用が拡大された。

 

ハローワーク主催の障害者合同面接会でも、

「車いす不可」の求人ばかりで

全く話にならない。

 

若い情熱を

社会の都合で、つまらない障壁で潰さないでほしい。

 

これ以上、誰も潰さないでほしい。

 

私のように、手に入れたものが、積み上げてきたものが、実際に活用できないなんて

 

障害があるという理由だけで

 

本当に、やりたかった仕事ができない現実に苦しむ人を

これ以上、増やさないでほしい。

 

どうか、

自分自身のために、社会のために、

 

社会福祉を学び、活躍したいと願う

若い障害者の情熱を汲みとり、

ともにきる社会になってほしい。

 

私は、これからも訴え続ける。

 

今日もお読み戴きましてありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*♡