ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

二人静

2017年05月21日 | 俳句

 先日より時間があれば、庭の手入れです。草刈機で刈った草の始末や刈れないところの草取り、剪定した枝などの始末etc….することは山のようにあるのです。今まで放っておいたツケなのですが、…。

 周りのお宅に迷惑が掛からない限りは、草が生えても一向に気にしない似たもの夫婦…なんです。

 ところが、やり始めると、今度は歯止めが利かない、要するに〝ズボラ〟、でも根は〝マジメ〟と言うことでしょうか。

 それで、一旦草刈機を使い出すと、わが亭主殿は〝無我〟の境地におなりになって、困ったことに何にも見えなくなるのです。

 それで何度大事な草花や苗木をなくしたことか。特に私が買ってきて植えたり、株分けして貰ったものなど…まだ小さいし、花も付けていないので、草と一緒に刈ってしまうのです。それを恐れて、植えるときはいつも一緒にするんですが…ね。

 「ブーン、ブゥーン…」と音が聞こえ出すと、飛んで外へ出るのですが、つい他のことをしていて、気付くのが遅かったり、出掛けていなかったりすると、もう後の祭りです。

 昨日も家に帰って、ハッとしました。「あそこに植えていた半夏生刈らなかった?」「そんなもん知らんが~」と。

 私が3ヶ所に分けて植えていたのですが、ナイ!ナイ!ナイ!

 確かにあれは葉が白くならなければ気が付きにくいので、草と思うのも無理からぬことですが…。

 がっかりして立ち去ろうかと…でももう一度よぉ~く探してみると…あったんですよ!1本残っていました。

 この花は結構繁殖力が強いので、1本でもあれば大丈夫ですが、傍にもう一つ小さな葉が出ていました。よかったあ~

 そうそうもう一つ、「二人静」です。知らない人は草と間違うんですが、…これはちゃんと残っていました。

 「二人静、これ分ったの?」「そりゃあれは、〇〇先生からもろうたんじゃろが~」

 そうなんです。2年半ほど前お亡くなりになって…一緒に俳句をしていましたので、知らない植物や見たことのないものなど、教えてもらおうとすると、我家にあるからと言って、すぐに届けて下さいました。この「二人静」もそうなんです。「一人静」も貰ったのですが、それは残念ながらうまく育てることができませんでした。だからこれは形見の〝二人静〟。

 

 晩春の季語です。我家の二人静は日陰の所に植えていましたので、まだ花序が残っており、それで旦那も気が付いたのでしょう。

      二人静木洩れ日と囁きあふは

 これは、馬酔木の我が敬愛する大先輩、渡邊千枝子先生の句です。一時は御指導を仰いで、色々とご助言を戴いた方です。

 この句、先生には珍しく、「5/5/7」の破調のリズムになっています。私などなかなか破調には詠むことが出来ないので、きっと〈木洩れ日と囁きあふは二人静〉としてしまうかも。でも、そうすると下5が字余りで重たくなり、この何かしらはかなげでロマンチックな抒情は出なくなるでしょう。やはり上5に据えて、おもむろに詠いだし、ここでしっかり切る。そして、一気に12音を朗するというのが狙いなのかも。ここでは助詞の「は」をどうとるかが問題です。私は、終助詞の「は」だと、現代語でいえば「わ」と同じ、「余情・詠嘆の意を表す」ものだと思います。更にこの句の眼目は「木洩れ日と」の「と」。これがもし「に」だったらと考えてみて下さい。そうすると、「囁きあふ」のは二人静同士ということになりますね。それじゃ面白くない!そこのところをよ~く考えてみましょう。

 先日柿の花の写真を載せましたが、あれはまだ固い蕾で緑色でしたね。今黄色を帯びた白色の壺状の花弁がよく見えるようになりました。2枚目の写真のように花弁の色が茶色っぽくなると落花します。

 

 柿は同株に雌花と雄花が付きますが、富有柿などの品種には雌花しか付きません。それで私はまだ雄花を見たことがないんですよ。

     柿の花きのふ散りしは黄ばみ見ゆ

 これは与謝蕪村の句です。「黄ばみ」は同感ですが、「散りしは」には納得できませんね。散るという表現は、日々それを見ている者からすると、全く相応しくない表現だと思います。

     柿の花土塀の上にこぼれけり

 この句は正岡子規、「こぼれけり」に実感がありますね。「落ちにけり」でもいいとは思うのですが、やはり「こぼれる」というと、そのものの形状やその動作の連続性が加わって、花と言うよりは小さな実のようなものが…というイメージが出てくるでしょう。

 蕪村の時代は言葉の使い方が大雑把だったのでしょうか?

 ちょっとした表現であってもイメージが変ってしまいますので、やはり俳句を詠む人は、どんな場合でもそれに相応しい表現を見つける努力を心がけたいものですね。

 


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1 コメント

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柿の花は可愛い (一句)
2017-05-22 01:08:11
こんばんは

黄ばむは、古びるということではないですか?
蕪村は昨日に散った花が、もう古びているといっているように捉えたようですね。 
蕪村は時間の経過をあらわして、昨日と今日散り落ちたものは違うと言ってるのではないですか?
そんな気がしました。 

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